GAL COSTA

スタンダードを歌う


 ガル・コスタ。1960年代後半から活躍を続ける彼女も、日本におけるここ最近のブラジルブームでも、 ちょっと名前を忘れられていた感がありますが、本国ブラジルではまだまだ歌姫としてその存在感を示しています。 今回紹介するこの<スタンダードを歌う>は、2003年の後半にブラジルで発売されるや、大ヒットこそしなかったものの、 2004年の初めまでヒットチャートの10位〜20位くらいを行ったり来たりして、 最近のガル・コスタのアルバムの中では最大のヒット作となっています。日本で彼女のアルバムが発売になるのは、 なんと6年ぶり。しかし、その間にも本国ブラジルで彼女はコンスタンとにアルバムを発表し続けていました。 <愛>をテーマにしたり、小編成のアコースティックバンドをバックに歌ったり。そして、このアルバム、 <todas as coisas e eu>は、<全ての事と私>という意味ですが、彼女の生れ故郷、 ブラジルのバイーアの曲からボサノヴァ誕生以前の名曲まで、日本ではあまり馴染みのない曲も多くありますが、 彼女にとってのスタンダードを集めた、大変ロマンチックなアルバムとなっています。それでは紹介していきましょう。

 前奏をきいただけでリゾート気分に浸ってしまう#1。アルバム中、最も古いサンヴァ・カンソンです。 リオ・デ・ジャネイロといえば、カーニバルとコパカバーナ海岸。そのコパカバーナ海岸をテーマにした二つの曲のメドレー、 #2。ガルのちょっと突き刺さるような声が、やけに心地よく聞こえます。ブラジルの歌手が尊敬してやまない、 エリゼッチ・カルドーゾの名唱で知られる#3。ガルも素敵な歌声を聴かせてくれています。 一昨年の初来日公演が物凄い話題をよんだジョアン・ジルベルト。彼の歌でとても有名になった#4。 軽いボサノヴァのリズムが南のそよ風を運んで来てくれます。ガルの故郷バイーア地方に伝わるバイアォンのリズム。 ちょっと変わったリズムに乗せて、ガルが楽しく歌う#5。喧嘩をする事で愛が無くなってしまうのは愚かな事、 という内容の#6。とてもロマンチックですね。ジャジーに歌って熟年の女を感じさせる#7。 どこか懐かしさを感じさせるショーロのリズム。ちょっとノスタルジックになってしまう#8。 ボレロのリズムが体を揺する#9。先に出てきたジョアン・ジルベルトとは全く違うアプローチをした#10。 素敵です。ブラジル音楽を語るときに欠かせないアレンジャーのオスカール・カストロ・ネイビス。 彼が17歳で作曲した大評判となった#11。最近ではカエターノ・ヴェローゾが取り上げていましたね。 思わず体がリズムを刻んでいる#12。#13のタイトルは<枯葉>。シャンソンの枯葉とは全く違って陽気に聞こえます。 勿論違う曲なのですが、北半球と南半球の違いがとても良く分かって面白いですね。ストーカーの歌? な〜んて勘違いしてしまいそうな怖い歌詞。究極の愛を歌った#14。 そしてアルバム最後はサンバの名曲を数多く発表したにもかかわらず、1936年、 惜しくも26歳でこの世を去ったノエル・ホーザ。彼の代表作4曲のメドレー#15。 カーニバルに参加している気分になりませんか?
 如何でしたか?とても素敵なアルバムでしたね。ロマンチックな気分に浸れたと思います。 アルバムの番号は、VIP-62873 でビクターから出ています。ブラジルのコーナーに行ってみて下さい。