Kenny G

At Last...The Duets Album


 ケニーG。この世界的に有名なサックス奏者を何でいまさら?って思っていらっしゃる方も多い事でしょう。 でも、今月はヴァレンタインデイが控えているのです。そう、そんな季節、 ロマンチストなあなたにピッタリのアルバムを彼が届けてくれました。残念ながら、日本盤は、 3月に入ってからの発売になりますが、今は輸入盤で恋人と一緒にロマンチックな世界に浸って頂きたいと思います。

 ケニーG。彼を知らない人の為に、少し彼を紹介しましょう。
 1957年6月5日に、アメリカは、ワシントン州シアトルで生まれた彼は、6歳の時からピアノに親しみます。 10代になるとサックスに興味をしめすようになり、 <愛のテーマ>で有名なバリー・ホワイト・オーケストラに参加したのをきっかけに17歳でプロとしての活動を開始させます。 やがて、ジェフ・ロバー・フュージョンのアルバムを経て、1982年にソロ・アルバム<KENNY G> 〜邦題はシティー・ライツ〜をリリース。86年に発表した4枚目のアルバム<デュオトーンズ>が大ヒットして、 一躍ソプラノサックス奏者としての地位を不動のものにしたのです。そして、その後も大ヒットを連発し、今では、 フュージョンサックスと言えばケニーG、と言われるほど、ジャズやフュージョンに限らず、 全ての音楽愛好家に知られる存在になったのです。それでは紹介して行きましょう。

 まだ眠い目をこすりながら背伸びをしている。そんな時に音楽が流れていたら、きっとこんな曲なんでしょうね。 ブライアン・アダムスの#1を歌うのはリーアン・ライムス。ケニーのサックスと息が合っています。 ヴァレンタインデイの朝にはピッタリの曲ですね。朝からいきなり夜の雰囲気になってしまったかのような錯覚を覚える#2。 トランぺッターのアルトゥーロ・サンドヴァルとの共演ですが、ジャズるケニーの実力も相当なものですね。 R・ケリーの名曲#3。鳥のように自由に飛んでいるケニーのサックスが、ソウル界の歌姫、 ヨランダ・アダムスを乗せて空中旅行をしているかのようです。 もうこの曲がヒットしたのは20年以上前になってしまったんだなと思うと、時の流れが本当に早いのを感じざるをえません。 ジョージ・マイケルがまだソロになる前に居た<ワム>。 彼らのエヴァーグリーン・ソング#4をソウルフルにブライアン・マックナイトが歌いあげます。 ちょっと前にこのコーナーでも取り上げたチャカ・カーンをフューチヤーした#5。ここでもチャカの凄さが味わえますよ。 如何にもフュージョンな#6。デヴィッド・サンボーンとのサックスの掛け合いもワクワク物で、 フュージョン好きにはたまらない曲です。ダリル・ホールの力の入れ方がすごい#7。 オリジナルのパティー・オースティン&ジェームズ・イングラムに負けていません。 自分としてはちょっと不満なトラック#8。グラディス・ナイトの声を活かすには、 もっと違うアレンジがほしかったですね。でも、ムードは満点。深夜に連れていかれた、 ってな感じでしょうか。数年前に世界中をこの曲で埋め尽くしたノラ・ジョーンズ。彼女の歌はないのですが、 何時聴いてもやっぱりいいです。#9は夜のムードっもいっぱいに、二人でグラスでも傾けたくなりますね。 デヴィッド・ベノイトのピアノがとっても素敵です。 このアルバムのクレジットを見て一番心配だったのがこのトラック#10だったんです。何故かって、お分かりでしょ、 共演がアース・ウィンド・アンド・ファイヤーだからなんですね。どうなるんだろうか?って思っていたんですが、 やっぱりアースしてました。ケニーのサックスも、陰からバックアップ的に地味にしてますね。 エルトン・ジョンが作ったこの#11を聴くと、何時も知らずに涙がこぼれてきます。 ここでフューチヤーされているリチャード・マークスが更にその涙を倍増させてくれて・・・。 数あるこの曲のカヴァーの中ではベストじゃないでしょうか。素晴らしいですね。 最近、ジュード・ロウ主演でリメイクされた映画<アルフィ>。その主題曲を作者のバート・バカラックとともに奏でる#12。 何の変哲もないアレンジですが、この曲には、それが良いですね。そして、このアルバム最後の#13は、 バーブラ・ストライザンドの登場です。コンサート活動からの引退は宣言したものの、 この様にアルバムで歌声が聴けるのは嬉しい限りです。彼女がデビュー間もない頃の持ち歌であるこの曲を、 以前にもまして感情を込めて歌っています。ケニーも邪魔しない様に、そっと寄り添う程度にサポートしてますね。 しかし、本当に上手いです、この人。60代半ばとはとても思えません。アルバムの最後には本当に相応しい曲でした。

 如何でしたか?ヴァレンタインデイにピッタリなアルバムでしょ。さあ、これから先は本当に二人の世界です。 どうぞ、ゆっくりお進みくださいね。
 アルバムの番号は、 82876-62470-2 でアリスタから出ています。また、日本国内盤は、3月9日、 BMGファンハウスから BVCM31155 で発売される予定になっています。この日本盤には、 ボーナストラックとしてTUBEが参加、彼らのヒット・バラッド<プロポーズ>をケニーと共演しています。