雪村 いづみ
〃「三人娘」を唄う〃


えっ?!!と驚かないで下さい。<雪村いづみ>って、誰?と思う方が大 変多いでしょうね。でも、一度このアルバムを聴いてみてください。チョ ット鼻につく声と唄い方だなと思われる方もいるかもしれませんが、とて も素敵なアルバムです。

ここで言われる「三人娘」とは、今から50年位前から活躍していた〔 美空ひばり〕〔江利チエミ〕〔雪村いづみ〕の三人のこと。今では、ひば り、チエミはこの世に存在せず、いづみが一人頑張っているわけです。で も、このアルバムは単なるノスタルジーからお薦めしている訳ではありま せん。聴き終った時に、きっと満足してもらえると思うからです。2枚組 ですが、あっと言う間に時間が過ぎてしまいます。

まず<DISC1> の方は、ひばり、チエミ、いづみの初期の 代表作からスタートして、1960年代半ばまでの曲で構成されています 。元曲の良さをのこして、前田憲男と吉田弥生の編曲がそれぞれの曲を新 しく甦らせています。特に#6、#10は素敵です。
色々な種類の曲が次 々と出てきて、とても面白いですね。こうして聴いていくと、昔の人達っ て、音楽を聴く事に関しては、今の人達より柔軟性があったのかもしれな いと思うのは私だけでしょうか?
勿論、<戦争>の後だったからかも知れ ませんが。その戦争批判の歌、#13が<DISC 1>のハイライト。 もう30年以上聴いていますが、本当に、詞、曲、共に大変素晴らしいな と思います。

さて、<DISC 2>に移りましょう。この辺りになるとチ ョットは知っている曲が出てきます。ひばりのレコード大賞曲#1で始ま り、いづみの第一回東京音楽祭グランプリ曲#2、名曲です。
1960年 代後半から70年代にかけて、結婚式の披露宴で歌われる曲のナンバー1 だった、チエミの#3。今でも酔っ払ってくるとオジサン族が歌うことの 多い#5。来生えつこ、たかお姉弟のセンスが素晴らしい#6。
#7、 #8、#9は、ひばり晩年のヒット曲。特に#9はひばりの死後、大ヒット したので、みんなが知っているエバーグリーン・ソングになっています。 このアレンジも素敵ですね。こんなに曲の感じが違っちゃうんです。
いづ みのコンサートで唄われる事の多い#10。〃歌わずにいられない あのころあの唄〃と唄って締めくくる#11。如何でしたか?

チョット新 しい発見でもした様な気分になりませんでしたか?こう聴いてくると、雪 村いづみの唄のうまさをつくずく感じます。みなさんもたまにはこんなア ルバムを聴いてみては如何でしょうか。



CDのナンバーは東芝EMI株式会社のTOCT-10501〜2 です。