MICHAEL BUBLE

it's time


 春も本格的になってきましたが、心がウキウキするこんな季節にピッタリのアルバムを紹介しましょう。 既にファースト・アルバムが全世界で300万枚を売り上げているポップス界期待の星、マイケル・ブーブレのセカンド・アルバム、 <イッツ・タイム>です。

 ジャケットを見てウットリしてしまった方もいるのではないでしょうか?ちょっと俳優のジョージ・クルーニーを思わせる甘いマスク。 そして、ちょっと幼げな眼差し。う〜む、まいっちゃいますね。それに聴いていただければ分かるその声。 メロメロになってしまいそうです。
 実は彼のファースト・アルバムが出た時には、あんまり感じなかったんです。というのも、 同時期に出てきたイギリスのジェイミー・カラムの方にジャズ的な魅力がいっぱいで、 ちょっとポップス寄りのマイケルは軟弱に思えて仕方なかったんです。しかし、このセカンド・アルバム<イッツ・タイム> を聴いた時、これは将来大物になるな、という予感がしてきたんです。丁度、 ハリー・コニック・ジュニアが登場してきた時と似ているんです。
 マイケル・ブーブレを知らない方のために、ここで少し彼を紹介していきましょう。
 カナダはバンクーバー出身のかれは、今年で30歳。幼い時から祖父にスタンダード・ソングを聴かされて育った彼は、 10歳の時にはステージに立っていたといいます。そして、プロになろうと決意したのが17歳。タレント発掘コンテストに出場し、 見事優勝。インディーズ・レーベルより2枚のアルバムを出します。その後、ミュージカルの舞台で北米を巡演していた彼に、 ブライアン・マルルーニ元カナダ首相の娘の結婚式で歌う仕事が舞い込みます。その時歌った<マック・ザ・ナイフ> を聴いていた招待客の一人がデヴィッド・フォスターだったのです。早速フォスターは彼と契約し、 豪華なメンバーを従えてファースト・アルバムをリリースします。これが先にも言いましたように、 全世界で300万枚を売り上げる好セールスをあげて、カナダのグラミー賞と言われているジュノー賞の新人賞を受賞、昨年の映画 <スパイダーマン2>のエンディングテーマを歌うなどの活躍を見せています。最近ではTVドラマにも進出して、 フランク・シナトラを彷彿させるほどになったのです。
 それではアルバムを紹介していきましょう。

 ドン・セベスキーのゴージャスな編曲で始まる#1。昔のシャーリー・バッシーのステージを想い出させます。 生のステージを観てみたくなりましたね。シナトラの十八番だった#2。軽くスウィングしてご機嫌です。 今年のグラミー賞を数多く受賞した今は亡きレイ・チャールズ。その彼の歌で知れ渡っている#3。 レイとは違ったアプローチがとっても成功しています。春の暖かい日差しを浴びて、ちょっとティー・タイム、 な〜んて時にピッタリですね。ゆったりとした時間の流れを感じさせてくれます。ボサノヴァ調にアレンジされた #4は女性歌手ネリーとのデュエットでしっとりと。いい感じです。マイケルのオリジナル#5。 カントリー&ウェスタンの曲調が広々とした草原をイメージさせますね。レノン〜マッカートニーの#6。 ジョン・クレイトンの編曲が思いっきりジャズってて格好イイです。ビッグバンドってやっぱり素敵です。 最後のアレンジもオシャレ!の一言です。このアルバムでは唯一トミー・リピューマのプロデュースとなる#7。 最後のスキャットはまだまだだな、という気がしますが、どうでしょうか?最近その秘められた涙物の歌詞の内容が話題を呼んだ#8。 ラテン調で踊りたくなりますね。
これもシナトラの十八番だった#9。歌詞の内容のように優しく サポートしているストリングスが素敵です。 出来ればヴァースから歌ってほしかったですね。長距離バスに揺られて南部の旅へ、という感じの#10。 ちょっとまだ若さを感じさせる#11は、クリス・ボッティのトランペットが奏でる哀愁の響きで大分救われました。 シナトラが歌った時と同じアレンジで始まる#12は、勿論、シナトラの十八番です。マイケルもシナトラを意識しているのか、 ちょっと似ていますね。通常のアルバムではこれが最後のトラックになる#13は、スティーヴィー・ワンダーの名曲です。 かつて、バーブラ・ストレイザンドも取り上げていた大変美しいバラッドです。 太陽が沈みかけた地平線を見つめている自分にふと気が付いたような、そんなシチュエーションが浮かんできます。 マイケルもとても美しく歌って、このアルバムの中でもベストの出来ですね。さて、これからの2曲は スペシャル・エディションにのみ入っているトラックです。#14は、ホテルのラウンジでお酒を飲みながら聴いているかのように、 リラックス出来ます。そして、これが本当に最後の曲#15。先ごろ公開された映画<ビヨンド・ザ・シー>でモデルになった ボビー・ダーリン。彼の十八番だった<三文オペラ>からのこの曲を、 スウィングたっぷりに歌ってアルバムを締めくくります。

 如何でしたか?なにか、春の爽やかな気分、そんな風に感じて頂けた方が多かったと思います。 当初、国内盤は4月13日発売予定だったのですが、急遽、この夏に延期された為、 今現在では輸入盤でのみお求めいただけます。アルバムの番号ですが、13曲目までの通常盤が、 9362-48946-2 、スペシャル・エディション盤が、9362-48996-2、この夏発売予定の国内盤が、WPCP-12060 です。 リプライズレーベルでワーナーから発売されています。ジャズヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。