PAUL ANKA

ROCK SWINGS


 秋も本格的になってきたこの時期に紹介したいアルバムが沢山あるのですが、 余りにも格好いいので今回はこのアルバムを紹介する事にしました。このコーナーが始まって間もない #10で紹介した事もあるポール・アンカのニュー・アルバム、<ロック・スウィング>です。

 ポール・アンカ。#10で紹介した時も、若い方達は知らないと思います、と書いた記憶がありますが、 是非このアルバムは若い方にも、そして、昔からのポール・アンカファンにも聴いてもらいたいのです。 とにかく格好いいの一言に尽きるアルバムです。
 ポール・アンカは、1941年、カナダのオタワで生まれ、 12歳の時にはアマチュアコンテストに出場していたというからもう50年以上も歌っているんですね。 1956年にABCパラマウントからシングル<アイ・コンフェンス>でデビュー。しかし、 これは散散な結果に終わりました。が、翌年ニューヨークに出た彼に幸運の女神が舞い降りたのです。 誰でも一度は耳にした事のある<ダイアナ>。これが全米、全英でナンバー・ワンを獲得してからは大ヒットを連発。 日本でもロカビリー・ブームを引き起こしたのでした。その後もコンスタンとにヒット曲を出して、 次第に大人の歌手に変身していきます。作詞家としても フランク・シナトラに元はシャンソンであった物を英語として書き直した<マイ・ウェイ>を捧げるなど、 その才能は留まる所を知りません。今現在も、ラスヴェガスを始めとした有名カジノにあるホールと契約を更新しているほか、 世界各地でもコンサート・ツアーを行うという精力的な活動をしているのです。
 そんな彼が今年届けてくれたアルバムは、ロックをジャズ風にアレンジしてフルオーケストラで歌ったという、 何とも大胆で驚く出来の、正に格好いいアルバム、<ロック・スウィング>でした。それでは紹介していきましょう。

 オープニングを飾る#1はボン・ジョヴィが5年位前に放った中ヒット曲。アレンジがとにかく格好いいですね。 変わってピアノのソロからお洒落に始まる#2。これは20年以上前に日本でも大ヒットしたスパンダー・バレエの曲。 大人の曲に大変身しています。これも20年以上前に超大ヒットしたサヴァイヴァーの#3。 ステージを観ている様な気がしてきましたね。世界的な大スターなのに、何故か日本ではイマイチのREM。 彼らが90年代に放った中ヒット#4。ロックが社交ダンスの課題曲になったみたいでエレガントな感じがしますね。 もう最初のアレンジからスウィングしている#5。オアシスの大ヒット曲です。軽いスウィング感がたまらなく素敵です。 知らない間に指を鳴らしているアナタがいませんか? グランジの始祖と言われてからわずか5年で解散した伝説のグループ、サウンドガーデン。 彼らの残した美しい曲#6。ペット・ショップ・ボーイズの大ヒット曲、#7。まるでポール・アンカの為に書かれたみたいで、 本当に歌から哀しみが伝わって来ます。前奏を聴いて飛び上がった方もいるのではないでしょうか? #8はヴァン・へイレンの超大ヒット曲。ちょっと可愛いジャンプです。 ニルヴァーナがグランジロックの頂点に立った記念すべきプラチナム・レコードの#9。アンダーグランドの香りがしますね。 丁度ペンギンが開店してから10日後に全米No1になったライオネル・リッチーの#10。 オーケストラの派手さが逆に寂しさを増幅させます。ビリー・アイドルの#11はリゾート音楽に大変身。 夏を惜しむかのように、風が吹き去っていく感じがとても心地よいですね。 オルタナティヴ・パンク・バンドのザ・キュア。#12は彼らの活動初期に発売された曲ですが、 軽いボサノヴァのリズムが安らぎます。この所、スキャンダラスな話題が多いマイケル・ジャクソンの#13。 マイケルの動に対してポールは静で迫ります。そして、アルバム最後になった#14。勿論知っている方が多いと思いますが、 エリック・クラプトンが亡き息子に捧げた名曲です。その名曲が更に名曲となって私達を虜にさせてしまいました。 本当に美しい。聴いている途中で涙が出てきた方も多いでしょう。アルバムの最後に、またしてもヤラレタ! と思ったのは私だけではありませんね、きっと。

 如何でしたか?とっても素敵なアルバムでしたね。大人のエンタテナー、ポール・アンカを十分に堪能できたと思います。 このアルバムをコンセプトにした彼のステージも観たくなりました。
 アルバムの番号は、UCCU-1068(国内盤)でユニヴァーサルより発売されています。ロック&ポップス、 またはオールデイズのコーナーに行ってみて下さい。