Charles Aznavour

Insolitement votre


 シャルル・アズナヴール。シャンソンのファンで知らない人はいないでしょう。そして、若いあなた、 あなたも意外な所で彼の名前を目にしているはずです。映画<ノッティングヒルの恋人>の中でテーマソング、 <She>がエルヴィス・コステロによって歌われ大ヒットしたからです。 元々はイギリスのTVドラマの為に1974年、 にハーバード・クレッツマーが作詞したものにアズナヴールが曲をつけたのですが、この時、 イギリスのヒットチャートのトップを5週間続けたという記録も残っています。
 さて、アズナヴールの話に戻りましょう。実は、アズナヴールはこのコーナー二回目の登場です。 丁度ペンギンのホームページが始まってから間もない1999年の新春、このコーナー始まって第2回めに、 <ジャズナヴール>というアルバムを紹介しているのですが、1924年5月生まれといいますから、 この時点で74歳。とてもそんな歳には思えない歌声だったと記しています。それが、 2005年の81歳で吹き込んだこのアルバムを聴いて更に彼の若さに驚いてしまいました。
 ここで、アズナヴールを知らない方の為に少し彼を紹介してみましょう。先ほども言った通り、 アズナヴールは今年81歳。9歳の時にはもう初舞台を踏んでいます。そして、12歳で映画初出演、 17歳で後にコンビを組むピエール・ロッシュと出会い20歳でデュエットを結成。 1950年にコンビを解消する間にエディット・ピアフと出会い、コンビを解消してからピアフと同棲、 そして別れ。28歳でソロとして活動を再開してからは、大ヒットの連続、映画出演の連続と多忙をきわめ、 現在に至っています。昨年は80歳の記念に5000人近く収容のパレ・デ・コングレでリサイタルを開き、 今年に入っては映画出演とこのアルバムの製作と、81歳を超えてもまだまだ元気な所をみせてくれています。 それでは、紹介していきましょう。

 いきなり元気な声で驚いてしまう#1。最近こちらも新譜を発表したばかりの2001年新人賞受賞の イザベル・ブーレイとのデュエット#2。不安な気持ちが伝わってきますね。#3のタイトルは医学用語で <解毒>。恋の魔術で体に入った毒を取ってしまおうとでもいうのでしょうか。 アズナヴールとは20歳位年が離れていますが、こちらもフランス音楽界大御所のセルジュ・ラマ。 彼とのデュエット#4は、カンカンの楽しさが目に見えるようです。#5は、 おそらく最近ステージでよく共演しているアズナヴールの孫だと思われるカティア・アズナヴールをフューチヤーして、 初めて感じる恋の予感を可愛く歌わせています。彼の作った昔の曲を想い出させる#6。 アズナヴールお得意のメロディ#7。かつてロリータアイドルとして1980年代に フランス・ギャルの再来といわれたリオ。彼女をフューチヤーした#8。声を聞いているだけですが、 今はロリータの面影も消えましたね。とても優しい声の持ち主、エレーヌ・セガラとのデュオ#9。 きっと直ぐに日本のシャンソン歌手が取り上げて歌うであろう#10。かつての名曲、 <ラ・ボエーム>に通じる哀愁を感じますね。恋は気持ちをおかしくしてしまうと歌う#11。 恋は魔物とは良く言ったものですね。軽いボサノヴァのリズムが気持ち良いですね。 #12でフューチヤーされているアニー・コルディがあのアニー・コルディだとしたら驚きです。 彼女ももう80手前。1960年代まで大活躍した歌手で女優です。 ここ30年くらいニュースを聞かなかったのでとても嬉しい気持ちになります。流石に声はちょっと衰えを感じますが、 まだまだその表現力が衰えていないのにはビックリです。前奏を聴いただけでグッとくる#13。 歌詞の内容はちょっと怖いです。アズナヴールの歌の特長。 それは無国籍な所にあるんじゃないかと思っているのですが、この#14もロシアっぽくていいですね。 輪を作って踊りたくなります。マイラ・アンドレイドとのデュオ#15。 何時でも恋をしている自分の姿が浮かんできます。自分の人生を歌った佳曲#16。忘れ形見を歌った#17。 ちょっと切ないです。再びセルジュ・ラマと歌う#18。ユーモアのある歌です。そしてアルバム最後の#19は、 とてもドラマチックで物悲しい、何か映画のワンシーンでも見ている感じがしますね。

 如何でしたか?とても81歳とは思えませんでした。まだまだ意欲も感じます。私たちが負けてしまいそうですね。 アルバムの番号は、0946 3369432 3でキャピタル(EMI)から出ています。シャンソンのコーナーに行ってみて下さい。