Mark Murphy

SEPTEMBER BALLADS


この秋、聴いてもらいたいお薦めCDの第2弾は、マーク・マーフィ ーの〃セプテンバー・バラッド〃です。彼の名前を聞いたことのない方も 大勢いる事と思いますが、通好みのヴォーカリストとして、50年代から 活躍している、大変素晴らしいアーチストです。ちょうど12年前に録音 されたこのアルバムには、アート・ファーマーをはじめ、一流のミュージ シャンがバックを勤めています。それに加えて、ライナー・ノーツをあの クレオ・レーンが書いている事でも彼の実力の程が分ります。

さて、本題に移りましょう。<ビル・エヴァンスに捧ぐ>という副題が 付いている#1は、朝もやの中の情景を表現しているかの様なアレンジが とても効果を上げています。この曲は、彼自身の作詞、パット・メセニー とライル・メイズの作曲です。
アート・ファーマーのフュリューゲル・ホ ーンの音で幕を開ける#2はマイケル・フランクスの曲。ドナルド・ベイ リーのハーモニカが効果的ですね。美しい曲を書かせたらこの人の右に出 る者はいないのではないかとさえ思わせる、ピーター・アレン作曲の#3 でも、ベイリーのハーモニカ、ラリー・コリエルのギター、ラリー・ダン ラップのピアノが効果的に使われて、一層この曲の美しさを引き立ててい ます。
ブルージーな#4はウイリー・ネルソンの作。CDだけの追加 曲です。ハンモックに揺られて夢を見ているんじゃないかと思ってしまう #5。#6はチック・コリアの有名曲。詞を付けても素敵な曲です。イン ストゥルメンタルで聴くのと表情が違いますね。
ファーマーのソロとマー フィーのヴォーカルが巧みに絡み合って素晴らしい#7。マーク自身の作 詞、作曲である#8。歌だけではなく、曲作りのセンスも並大抵のもので はありません。
ポルトガル語で唄われる#9は彼の本領発揮と言えるでし ょう。このての曲を唄わせると、本当に<うまい>と思いませんか? アルバムの最後を飾るのは、スティーブ・アレンの作品。最後に相応しい 、とても素敵な曲です。アレンジも素晴らしいのですが、特にラリー・ダ ンラップのピアノが引き立ちます。

如何がでしたか?少し音を控え目にして聴くと、一層良いかもしれませ ん。まさに、この秋にピッタリなアルバムだと思います。


CD ナンバーは VDJ-1156 でビクター音楽産業株式会社から発売 になっていましたが、発売が10年以上前なので、Noの変更、もし くは廃盤になっている可能性もあります。ちなみに輸入盤はまだ廃盤にな っていません。