TOKU

A Brand-New Beginning


 段々春らしくなってきましたが、今回は、そんな春に相応しい爽やかなアルバムを紹介したいと思います。 このコーナーNo.78でも紹介したことのあるTOKUが2年ぶりに発表したニュー・アルバム、 <ア・ブランニュー・ビギニング>です。

 TOKUについてはもう皆さんご存知だと思います。フュリューゲルホーン奏者であるばかりではなく、 ヴォーカリストとしてもとても魅力あるアーチストです。彼についてはこのコーナーNo.78を参考にしていただくとして、 今回のこのアルバムについて、ちょっとコメントしておきましょう。
 このアルバムは、そのタイトルが示すように、彼の新しい出発となるものです。前作の<30>は、 いわば彼にとっての最初の区切り。その後、音楽仲間3人で作ったユニット<TKY>としての活動を経て再び <TOKU>として私たちの前に戻ってきてくれたのです。彼の為の、そして、 彼自身によるオリジナル曲を中心に構成された今回のアルバムは、春に舞う花びらのよう。 体が浮いている感じがしてとても心地よく、爽やかです。それでは、紹介していきましょう。

 このニューアルバムにピッタリの#1。フェビアン・レザ・パネのストリングスのアレンジがとても素敵です。 作曲は、MISIAの<Everything>を書いた松本俊明、作詞は、TOKUとも古い付き合いのMAYUMIです。 TOKU自身が書いた#2。ポンタのドラム、小沼のギター、西脇のオルガンにハーモニカ。もちろん、 TOKUのフュリューゲルホーンと聴き所が満載な曲ですね。イントロがスティーヴィー・ワンダーを想い出させる#3。 歌の部分はほんの少しですが、大人の雰囲気がいっぱいでゾクゾクしてきちゃいます。シャンティとの共作#4。 70年代後半とてもお洒落な曲を唄っていた大橋純子。この#4は彼女が唄っていた曲を想い出させてくれました。 その年代の方には大変懐かしく感じられる事でしょう。#5もシャンティとの共作。 ピアノとフュリューゲルホーンが夜の世界に導いてくれるような感じです。楽園。まさに楽園に居る。 #6はその一言で十分です。夢の世界に居るかのような錯覚に陥ってしまいますね。歌詞の中に、 このアルバムのタイトルが出てきますが、気が付きましたか?TOKUが大好きなミュージシャン、ジョージ・デュークの#7。 <ホテル・カリフォルニア>でお馴染みのイーグルス。彼らの曲の中で特に私が大好きな#8。 詩を良く読んでみて下さい。きっとあなたにも経験した事が有るはずです。そしてアルバム最後の#9は、 とても美しい曲です。ピアニスト塩谷哲とのデュオですが、シャンティの詩、TOKUの曲、塩谷のピアノ、 それにTOKUの声が一つになって本当に美しい、ただただ美しい。涙が溢れて来そうなこの曲でアルバムは終わります。

 如何でしたか?とても素敵なアルバムでしたね。上質のポップスを聴いている、そんな感じでした。 何度も繰り返し聴いてしまいそうなアルバムですね。アルバムの番号は、SICP10019 でソニー・ミュージックから出ています。 ジャズ日本人のコーナーに行ってみて下さい。

2006.3.19