Tony Bennett

Duets〜An American Classic


 毎年このコーナーでは、秋にお勧めのアルバムを厳選して紹介していますが、 今回は2006年の秋に推薦するアルバムの第一弾、トニー・ベネットの新作 <デュエッツ〜アン・アメリカン・クラシック>を紹介しましょう。

 トニー・ベネットは、このコーナー#33と#74に次ぐ3回目の登場です。 1926年、ニューヨークはアストリア生まれの彼は、この8月3日で丁度80歳を迎えました。 このコーナーでも紹介した事のある、86歳の栗本尊子、来年来日公演が予定されている82歳の シャルル・アズナブールなどなど、80歳を越えて益々元気なアーチストは数知れず。 トニー・ベネットもその仲間入りを果たした訳ですが、そんな彼が届けてくれたニューアルバムは、 音楽界の大スター達とのデュエット。共演している数々のスター達が、 まるで彼の80歳をお祝いしているかのような豪華なアルバムです。それでは早速紹介していきましょう。

 1989年にテキサス州のダラスで結成されたトリオ、<デキシー・チックス>。 今までに3000万枚を超すセールスを記録しているカントリー界の大物グループと豪華に繰り広げる#1。 もう最初からウキウキです。打って変わって#2は、今年久しぶりに全米でコンサートツアーを行うスーパースター、 バーブラ・ストレイザンドとしっとりと、そして曲の最後にはアドリブも入れるお洒落な作りで微笑ましい雰囲気が伝わってきます。 鼻唄風のスキャットもご機嫌なジェームス・テイラーと楽しそうな#3。映画音楽を聞いているかのように始まる#4。 ちょっと聴いただけではデュエットの相手がポール・マッカートニーだとは気付きませんね。大人の雰囲気でとても素敵です。 この11月に来日公演が予定されているラテン音楽界のスーパースター、フアネス。彼とのデュエット#5。 途中からフアネスはスペイン語で歌っています。エルトン・ジョンとの#6は、ちょっとミュージカル風。 トニーの若い時を想い出させる歌い方を披露するビリー・ジョエルとの#7。フェイス・ヒルの旦那、 カントリー界の伊達男ティム・マッグロウ。彼との#8はとてもカントリー色が強く、 牧場で馬に揺られているような気持ちになりますね。感情たっぷりのセリーヌ・ディオンとは#9では親と子のように。 セリーヌにとっては、トニーもいいお爺ちゃんなのかも知れません。 ピアニストの域を超えてヴォーカリストとしても評価されているダイアナ・クラールとの#10ではビッグバンドでスウィング。 #11はトニーが1967年に歌い、そしてその翌年にこのアルバムのこの曲で共演のスティーヴィー・ワンダーが大ヒット (全米2位)させた曲。スティーヴィーはハーモニカでも参加しています。 終りに聞こえる二人のやり取りにニヤッとした人もいるのではありませんか? 何をやらせてもとても上手いエルヴィス・コステロ。彼との#12は楽しい仕上がりになっています。 トニーが1951年に大ヒットさせた(10週連続でビルボードの1位を記録)#13は、このコーナー#74でも紹介し、 その時にもトニーと息のあった所をみせていたk.d.ラングとの共演。暖かい雰囲気が伝わりますね。 このコーナーでも以前紹介したカナダから出てきたイケメンのマイケル・ブーブレ。彼とはゴージャスに#14で。 最近クラシックのアルバムを発表して益々音楽の域を広げているスティング。#15では、 霧の中にいるような絵が浮かんでくる歌唱で心を打ちます。本当に素敵なデュエットですね。 今や俳優業にも進出して成功を収めているボーノ。#16では彼が緊張してトニーと歌っているような気がしますね。 作曲家としてスタートしながら、今やネオR&B界の旗手となったジョン・レジェンド。#17では、題名の通り、 トニーと二人でスウィングしまくります。#18は、ロックに押され気味で、 ヒット曲に恵まれなかったトニーがサンフランシスコに巡業に行った時に取り上げた事から評判になって300万枚を超す大ヒットになった思い出の曲。 ここでは、トニーとピアノのデュエットで聴かせます。流石!と言った所ですね。 アルバム最後の#18は、色々お騒がせのジョージ・マイケルとのデュエット。 まるでトニーがマイケルにこれからどうやって生きて行くのかを教えているようですね。

 如何でしたか?とても豪華で素晴らしいアルバムでしたね。秋の夜長にピッタリです。アルバムの番号は、 輸入盤が82876 80979 2 でコロンビアから、国内盤は、SICP-1152(10月18日発売)でソニーから出ています。 ジャズヴォーカルかロック&ポップスのコーナーに行ってみて下さい。

2006.10.7