Art Garfunkel

Some Enchanted Evening


 春になると気持ちもウキウキ。まるで体が宙に浮いているような感じがします。 そんな春の季節にピッタリのアルバムを今回は紹介しましょう。4〜50代には懐かしい、 元サイモン&ガーファンクルのひとり、アート・ガーファンクルがスタンダードを歌った新作、<魅惑の宵>です。

 若い方達には知らない人もいると思うので、ここでアート・ガーファンクルについて少し説明しておきましょう。
 1941年11月にニューヨークのクイーンズ地区に生まれた彼は小学校の6年の時、 ポール・サイモンと出会い<トム&ジェリー>という名前で活動を開始します。 コロンビア大学在学中は音楽活動を一時中断していましたが、 1963年にポールと再会して、 翌1964年にサイモン&ガーファンクルとしてコンビを再結成します。このコンビは<スカボロ・フェアー> <サウンド・オブ・サイレンス><明日にかける橋><ボクサー><ミセス・ロビンソン><コンドルは飛んで行く>など等、 数多くのヒット曲を出しますが、1970年に解散してお互いにソロとして活動を開始します。 ポールが音楽一筋の道を歩んで行くのとは反対に、ガーファンクルは音楽活動にとどまらず、映画に進出したり、 詩集<スティル・ウォーター>を出版したり、アメリカ大陸やヨーロッパ大陸を徒歩で横断するなど幅広い活動を展開していきます。 1981年にセントラル・パークでのコンサートの為にサイモン&ガーファンクルを再結成。しかし、 音楽性の違いから再び違う道を歩んでいきます。その後、2003年に再再結成をしてアメリカとヨーロッパをツアー。 その後はまた別々に活動しています。 今回紹介するアルバムはガーファンクルにとって5年ぶりソロとしては通算12枚目となり、 20世紀を代表する歌の数々を心地よい歌声で聴かせてくれています。

 それでは紹介していきましょう。

 春のもや〜っとした風景が目に浮かぶ#1。この一曲目で早くも彼の独特な世界に引き込まれてしまいます。 ガーシュイン兄弟1926年のミュージカル<オー・ケイ!>に使われ、その後何度か映画でも使われた#2。 シンセのストリングスがまだ見ぬ恋人へ導いてくれそうですね。春のウキウキした気持ちそのままの#3。 草原でスキップでもしているようです。こんな歌声で囁かれたら直ぐにでもOKしてしまいそうな#4。 自分の存在が分からなくなってしまうほど気持ちいい#5。この曲といえばビリー・ホリデイの名前がすぐ浮かぶほど有名な#6。 同名の映画で使われた曲ですが、当時の邦題が<街の春風>。まあ、見ていないのでなんとも言えませんが、 このアルバムにはピッタリです。ミュージカル<マイ・フェア・レディー>からの#7。この気持ち、凄く良く分かりますよね。 春は恋心も芽生え始める季節。ホワァ〜っとした雰囲気が最高です。夢を持つことの素晴らしさを改めて教えてくれる#8。 タイトルになっている#9はミュージカル<南太平洋>で使われた曲。サークルダンスでもしてしまいそうな#10。 歌詞の内容はちょっと不思議ですが、要は愛の告白なんでしょう。ほのぼのとした情景が浮かんでくる#11。 眠ってしまいそうですね。これも夢の世界に連れて行ってくれそうな#12。 そしてアルバム最後の#13はリチャード・ロジャースとオスカー・ハマーシュタインのミュージカル<回転木馬>で歌われたもの。 ゆったりとした曲調に気持ちが落ち着きますね。

 如何でしたか?春にピッタリのアルバムでしたね。一日通して聴く事のできるアルバムでした。アルバムの番号は、 輸入盤がR2 74851でATCOレーベルより出ています。 また国内盤が4月11日の発売でWPCR−12600でワーナーミュージックジャパンから発売予定です。 ロックのコーナーに行ってみて下さい。

2007.3.10