VANIA

VANIA


 ようやく春らしくなって来ましたが、春の陽射しを浴びながらぼ〜っとするのもいいものです。今回紹介するアルバムは、 そんな時に流れていたらとても気持ち良いに違いありません。現代キューバを代表するバラータ歌手、 ヴァニアの<ヴァニア>がそのアルバムです。

 ヴァニアについては資料がないのであまり分かりませんが、分かることだけお知らせしてみましょう。
 皆さんは、作家、村上龍が大変気に入っているキューバのバンド、<バンボレオ>を知っていますか? 1995年に結成されたキューバを代表するダンスバンドで、欧米で大変な人気を誇っています。 日本には村上龍のプロデュースで二度ほど来日しています。昨年の11月の来日公演はまだ記憶に新しい所ですね。 その<バンボレオ>に結成当時から数年にわたり現代キューバを代表する歌姫、 ハイラ・モンピエと共に参加して花を添えていたのが今回紹介するヴァニアです。 <バンボレオ>在籍当時はダンスバンドの歌手として相当の力を示していましたが、ソロになって初めてのアルバム、 <ヴァニア>では、一転してバラータ歌手としての実力を発揮しています。それも、 スペインを代表するシンガー・ソング・ライター、アレハンドロ・サンスの作品集。 バックの演奏陣もキューバを代表するミュージシャンで固め、とても素晴らしいアルバムに仕上がっています。

 それでは紹介していきましょう。

 アレハンドロ・サンスの代表曲と言ったら多くの人がまずこの曲を上げるだろう#1。 とても難しい曲を感情豊かに歌い上げています。ギターのソロが哀愁を感じさせますね。正に春風と春の陽射しを感じる#2。 フィギュア・スケート、エキシビションでのアイスダンスが目に浮かんでくる#3。とても優雅です。 冒頭のコントラバスが哀しみを運んでくる#4。最後のジャズ風な演奏もいかしてますね。テラスに出て紅茶にクッキー。 そんな感じの#5。空気の流れのままに体を委ねたくなる#6。優しく語りかけるヴァニアの声にホッと心が和む#7。 バラータ歌手としての本領を発揮した#8。夜のバーでグラスを傾けたくなってくる#9。ギターのソロも雰囲気を盛り上げます。 雨のネオン街。人影も少ない街を一人歩いている。そんな映像が浮かんでくる#10。 ちょっと居眠りしてしまいそうに気持ちよい#11。アルバム最後の#12は、 これから芽吹く若葉の力強さを感じさせてくれる様です。

 如何でしたか?とても素敵なアルバムでしたね。もう何もしたくない気持ちになってしまいそうです。 全体を通して感じられるジャズ的なアプローチ。これも心地よかったですね。彼女のステージを是非観たいものです。 アルバムの番号は、ZZ4096でZunZunレーベルより出ています。今のところ、国内発売の予定はないので、 輸入盤のみという事になります。ワールドミュージックのキューバ音楽のコーナーに行ってみてください。


2007.4.15