yanokami(矢野顕子&レイ・ハラカミ)

yanokami


今年の8月、中旬までは猛暑、下旬は急に秋の訪れ、そして9月に入ったら台風の襲来。あ〜、 なんて忙しいんでしょうか。そんな時には音楽を聴いてホッとしたいものです。今回紹介するアルバムは、 皆さんお馴染み、独特の音楽活動を展開する矢野顕子と、リミックスの世界で活躍しているレイ・ ハラカミとの新ユニット、<yanokami>の<yanokami>です。

 矢野顕子とレイ・ハラカミ。それぞれの世界では有名なお二人ですが、二人を知らない方の為に、 少し二人を紹介してみましょう。

 まず、レイ・ハラカミから。1970年、広島生まれで、現在は京都に在住しています。1996年、<Flare> のリミックスでデビュー。翌年、<rei harakami ep>でを出し、’98年<unrest>でアルバムデビューを果たします。 矢野顕子を始め、UA、ショコラ、くるりなどのリミックスを手がけて2006年発表の<わすれもの>までアルバム5枚を発表。 今年は映画<天然コケッコー>の音楽も担当し、サントラも発売されています。矢野顕子とは、 夏のロック・フェスティバルなどで共演。4年越しでこのアルバム<yanokami>を制作したのです。

 次に、もうみなさんご存知の矢野顕子。1955年東京生まれの彼女は、父親の仕事の関係で3 歳の時に青森に移住します。 中学時代まで青森市で過ごしますが、高校進学を機に上京、青山学院高等部に進学します。 その頃から青山にあったライヴハウス<青山ロブロイ>に入り浸り、 オーナーであった安部譲二の家に下宿してロブロイでのセッションに励み、ついには高校を2年で中退、 プロの道へと進むのです。18歳でバンド<ザリバ>名義でシングルをリリース。しかし、バンドは直ぐに解散します。 翌年、作、編曲家であり、ピアニストの矢野誠と結婚。2年後の1976年、<Japanes Girl>でソロ・デビュー。 天才少女と騒がれます。1979年、矢野誠と離婚。その年よりイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)との ワールド・ツアーに参加します。1981年、カネボウ化粧品のCMに使われた<春咲小紅>が大ヒット。 その名前は全国に広がったのです。1990年にはYMOのメンバーでもあった坂本龍一と結婚、 アメリカへ一家で移住した後も音楽活動は続け、2006年に協議離婚。今年は27枚目のアルバムを制作がてら、 このアルバム<yanokami>を完成させて、活発に音楽活動を続けています。

 それでは、紹介していきましょう。

 矢野顕子のデビューアルバム<JAPANES GIRL>でもトップに収められていた#1。 31年前の曲が鮮やかに甦った感じがします。カルトな人気を誇った深夜のTV番組<やっぱり猫が好き>のテーマ・ ソングだった#2。3人の個性が前面に出た素敵な番組でしたが、 この曲が番組にピッタリだったと今でも確信して止みません。アルバム<峠のわが家>に収録されていました。 ふわふわ空中を遊泳しているような気持ちになってしまう#3。アルバム<オーエス  オーエス>に入っている曲と比べてみると面白いかもしれません。矢野顕子が休養宣言する直前(1987年) に発表されたアルバム<GRANOLA>に入っていた#4。詩を読んでいると愛する事への迷いみたいな物が分かって、 「なるほどなぁ〜。あの時はそうだったんだ。」と今は思えます。矢野顕子がくるりの岸田繁とレイ・ ハラカミと初めて出会って作ったアルバム<ホントのきもち>に収録されていた#5。yanokami  ヴァージョンでのこの曲も中々の聴き物ですね。丁度10年ほど前に彼女がジェフ・ボヴァと作ったユニット THE HAMMONDS。その時発表したアルバム<life behind TV>の中にも入っていた#6。 日本語ヴァージョンと英語ヴァージョンという2種類のアルバムが出て話題になりました。 ここでは英語ヴァージョンの再演です。このコーナーでは何時も言うのですが、 エヴァー・グリーン・ソングって本当に素敵だなと思います。この#7も、 もう40年も前のフィリー・ソウル全盛時代に3人組のソウル・グループ<デルフォニックス>が放った大ヒット。 ウィリアム・ハートのファルセット・ヴォイスが今でも耳に残っていますが、 こんなにアレンジが変わっても素敵に聴こえるのは、やはりエヴァー・グリーン・ソングならではなんでしょうね。 #8はアルバム<ホントのきもち>の6曲目と10曲目に入っていた曲。その6曲目はアコースティック・ヴァージョンでした。 このアルバムでyanokami ヴァージョンが加わって、3種類のこの曲を聴く事ができます。これを聴いていて思うのですが、 楽器の発達は幾つもの新しい発見をさせてくれますね。イメージがひと回り大きく感じられるのです。 矢野顕子のスキャットとレイ・ハラカミのプログラミングされた演奏だけで進む#9。 彼女のスキャットがプログラミングの一部のようで心地よいですね。アルバム最後の#10は、私の大好きなアルバム <PIANO NIGHTLY>のこれも最後の10曲目に入っていた曲。あのピアノ弾き語りとはひとつも二つも違う、 新しいこの曲の魅力にまた出会った感じがしてしまうのは、決して私だけではないでしょう。
 如何でしたか?既製の曲でもアレンジが違うだけで、こんなにもイメージが違ってくるんですね。 レイ・ハラカミのふわふわっと言う感じがするプログラミングがとても素敵でした。それがまた矢野顕子の声とマッチして、 さらにふわふわな感じが伝わって、本当に心地よいアルバムでしたね。アルバムの番号は、YCCW10034 で、 ヤマハミュージックコミュニケーションズから出ています。JーPOPのコーナーに行ってみて下さい。

2007.9.12