JOSEPH WILLIAMS

Tears


 クリスマス・シーズンのこの時、何時もクリスマス音楽だけじゃねぇ〜、とおっしゃるあなた。 そんなあなたにお勧めするアルバムが、今回紹介するジョセフ・ウィリアムズの<ティアーズ>です。

 ジョセフ・ウィリアムズって誰?って言う方も多いと思います。 元TOTOのヴォーカリストと言えば分かる方もいらっしゃるかも知れませんね。そこで、 少し彼の事を紹介しておきましょう。

 1960年に映画音楽の巨匠、ジョン・ウィリアムズの息子として生まれた彼は、 1980年代前半からスタジオミュージシャンとして数多くのセッションに参加、1982年にソロアルバム<Joseph Williams> でデビューします。1986 年から89年までTOTOにヴォーカリストとして参加、<ファーレンハイト>、 <ザ・セヴンス・ワン>をヒットさせます。その後、 <ウェスト・コースト・オールスターズ>というユニットに参加したり、 TOTOのゲスト・ヴォーカリストとして彼らのアルバムに参加したりしていますが、久し振りに2006年、 <トゥー・オブ・アス>というソロ・アルバムを発表。今年、2007年には、今回紹介する<ティアーズ>と同時に <スマイルズ>というアルバムも発売し、ソロとして今後の活躍が期待されています。

 それでは紹介していきましょう。

 物悲しげに始まるピアノの音が印象的な#1。オリジナルはフィル・コリンズですが、 エルトン・ジョンっぽい歌い方が耳に残りますね。<ティアーズ>というタイトルにピッタリのオープニングです。 ジェームス・テイラーの名曲#2。思わず口ずさみたくなりますが、 さらっと歌っているジョセフにとても好感を持ちました。ジョセフの娘二人がコーラスで参加している#3。 エルトン・ジョンの数ある名曲のひとつです。この曲もこのアルバムにピッタリ。涙が目に溢れてきます。 もう何千回と聞いたでしょうか、このイントロ。プロコル・ハルムがオリジナルの#4。改めていい曲だなと思いました。 次はもう涙どころじゃありません。#5はスモーキー・ロビンソンの涙涙の名曲です。 涙の曲なのに嬉しくて仕方ありません。ステップ踏んじゃいそうです(笑)。 色々なカヴァー・アルバムを聞いて思うのですが、その殆どにスティーヴィー・ワンダーの曲が入っています。 #6でも彼の曲が取り入れられました。スティーヴィーの曲の中でも私が特に好きなこの曲も、 バーブラ・ストライザンドやナンシー・ウィルソンをはじめ色々なアーチストに歌われていますが、 ジョセフの歌い方も素直でとてもいいですね。ポール・ヤングがオリジナルの#7。 ジョセフの押さえた歌唱がこの歌の主人公の心情を良く表しています。 私は、ポール・ヤングより好きかも知れません。優しく歌いかける#8はエルヴィス・プレスリーのヒット曲。 ジョセフの優しさが手に取るように分かりますね。 ちょっと歌が上手くなると歌いたくなるのがエリック・カルメンの#9です。でも、とっても難しくて。 アメリカだけじゃなく、日本でも凄く流行りましたね。 このアルバムはデヴィッド・ハリスがピアノを全て担当しているのですが、このトラックでの彼のピアノは、 このアルバム中最大の聴き所です。素晴らしい!私がここ数年で最も美しい曲だと思っている#10。 言葉が要らないほど本当に美しい。美しいのひと言だけですね。 今年の冬に最後の来日公演と銘打って日本を訪れたシャルル・アズナヴール。彼がこの#11を作ったのがもう数十年前。 イギリスでヒットしたのも30年ほど前。 それが映画<ノッティングヒルの恋人>に使われてエルヴィス・コステロが歌って今度は世界的に大ヒット。 いい曲って何時まで経っても残っていくんですね。ジョセフはちょっと優等生的な歌い方でしょうか。 アルバム最後の曲、#12はエヴァネッセンスがオリジナル。残念ながら私はこのアーチストを知りません。 でも素敵な曲です。このアルバム<ティアーズ>の最後にピタッとはまりますね。

 如何でしたか?クリスマスにはちょっと寂しいかもしれませんが、 こんな曲が流れているクリスマスも良いかもしれませんね。
 アルバムの番号は、IECPー10124でWHDエンタテイメントから発売になっています。同時に発売された <スマイルズ・IECP−10125>も聴いてみて下さいね。ロックのコーナーに行ってみて下さい。

2007.12.9