JANET SEIDEL

CHARADE


 今年の冬は久し振りに訪れた本格的なものですね。こんな時は外出したくなくなります。そこで、 お勧めしたいのが今回紹介するアルバム、ジャネット・サイデルの新作、 <シャレード〜スウィート・マンシーニ>です。

 ジャネット・サイデルと聞いてもジャズ・ヴォーカルのファン以外にはご存知ない方が多いでしょう。少し彼女を紹介してみましょう。

 彼女はオーストラリア出身のピアニスト兼ヴォーカリスト。所謂、弾き語りをするアーチストです。 彼女のキャリアはもう30年近くになりますがはっきりとした年齢は分かりません。ただ、 その事を考えると、おそらく40代の後半かと思われます。その彼女、 兄でベーシストのデイヴィッドとコンビを組んで1980年頃から活動を開始します。 ライヴハウスなどで活躍していましたが、1992年、La Bravaレーベルよりアルバムデビューします。 既に 15枚以上のアルバムを発表していますし、 度々来日公演も行なっていますので生の彼女をもうお聴きになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。 その彼女の新作はヘンリー・マンシーニのソング・ブックです。
 ヘンリー・マンシーニ集といえば、このコーナーでも過去にNo.7でマンシーニの愛娘、 モニカ・マンシーニのアルバムを、続くNo.8ではオランダ・ジャズ・ヴォーカル界の重鎮、 リタ・レイズのアルバムを紹介しました。で、 ここに新たに加わるのがジャネット・サイデルのアルバムという事になります。
 先にも言ったように、彼女は普段、弾き語りをするのですが、 このアルバムではヴォーカリストに徹していて、またそれが素晴らしく、 伴奏を務めるジョー・チンダモのカルテットとの相性も抜群で、 本当に素晴らしいアルバムとなりました。

 それでは紹介していきましょう。

 ジョー・チンダモのピアノがジャズクラブにいる様な雰囲気を醸し出す#1。 半世紀ほど前にアメリカで放送になったTV番組<ピーター・ガン>のテーマソングでした。 お洒落なオープニング・ナンバーです。ラテンのリズムにのってジャネットがセクシーな声を披露する#2。 思わず指を鳴らしてしまいそうな#3。バックの演奏もいいですね。 ワルツを踊る姿が浮かんでくる#4。バックの哀愁を感じる演奏が素晴らしいです。 ジュリー・アンドリュースが主演した映画の主題歌ですが、 オリジナルより少し早いテンポにする事でワルツのリズムが活かされていますが、私個人としては、 やはりオリジナルの速さがこの曲にはあっているような感じがします。 私の好きな映画ベスト5から落ちたことが無い<バラと酒の日々>。 その主題歌でアカデミー賞を受賞した曲#5。ラテンリズムを奏でるパーカッションがいいですね。 このアルバムのタイトルにもなっている#6。 目が回ってしまいそうな早目のワルツのリズムがサスペンス映画のこの曲にピッタリです。 ギターとのデュオでスタートする#7。とても落ち着く曲です。ロマンチックなナンバー#8。 中年の恋愛を描いた同名映画の主題歌ですが、暖かいジャネットの歌い方に好感が持てますね。 #9がテーマ曲として流れるこの映画も私の好きな映画トップ5の常連です。ただ、 このトラックではラテンのリズムが強くて映画のイメージが少し崩れるのが残念です。 軽いスウィングが心地よい#10。イタリアからフランスにかけての保養地リヴィエラが舞台になった ジーン・セバーグ主演の映画の主題曲#11。タイトルのように思える恋人があなたにはいますか? 本当にジュリー・アンドリュースが格好良かった映画<ヴィクター/ヴィクトリア>。 その主題歌#12はオリジナルより少しゆっくり目に唄うジャネットが感情たっぷりです。 思わず体が動き出すナンバー、#13。好きな人に「I Love You」 と何回も言われたら嬉でしょうけど、そうじゃない人に何回も言われたらねぇ〜。忘れませんけど、 どうなんでしょうか。#14のタイトルは本当に素敵です。何時も二人でいられたら・・・。 アルバム最後の曲でボーナス・トラックの#15。 映画ではオードリー・ヘップバーンがギターを弾きながら唄っていたあの曲です。 ジャネットは、ジョー・チンダモのピアノとデュエットで唄います。 ゆったりとした雰囲気がアルバムの最後にピッタリです。

 如何でしたか?とても素晴らしいアルバムでしたね。 このアルバムの主役は勿論ジャネット・サイデルなのですが、 ジョー・チンダモを始めとしたバックの面々が奏でる演奏の素晴らしさが何時までも耳に残る第二の主役になっていたのは皆さんも感じられた事でしょう。 本当に素晴らしく素敵でした。
 アルバムの番号は、MZCF1145でMUZAKから出ています。 ジャズヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。

2008.2.10