JANET SEIDEL

CHARADE


 アン・マレーと聞いて懐かしく思われた方も多いと思います。 1970年代に数多くのヒット曲をビルボードのポップスチャートに送り込んだカナダの歌姫だからです。 と言っても、彼女は現在62歳。しかし、 今もカントリー・チャートにはヒットを出している現役なのです。 その彼女が素敵なデュエットアルバムを届けてくれました。 女性ばかりを集めて作ったこのアルバム、 彼女のアルトの声が心に響いてとても落ち着く感じがします。

 アン・マレーを知らない方の為に、少し彼女を紹介していきましょう。

 1945年の6月にカナダで生まれた彼女は、幼いときから音楽に親しんだ、 と言いたい所なのですが、何と、大学では体育の専攻でした。 そんな彼女が音楽の世界に入ったきっかけは本人に聞いてみないと分からないのですが、 1970年に<スノーバード>でデビューするなりビルボードで8位を記録。 その年のグラミー賞にカーペンターズ、エルトン・ジョンなどと共にノミネートされてしまいます。 惜しくも受賞は逃したものの、その後も<ダニーズ・ソング>、 <ラヴ・ソング〜この曲でグラミー賞の最優秀カントリー歌手賞受賞>、<想い出にさようなら>、 <愛の残り火>などヒットを連発していきます。特に彼女初めてのc純塔qットとなった1978年の <辛い別れ>ではグラミー賞の最優秀女性歌手賞を受賞するという活躍でした。 その後もカントリー畑では数多くのヒットを出して今に至っています。

 それでは紹介していきましょう。

 ケニー・ロギンスが独立する前の<ロギンス&メッシーナ>時代に放ったヒットで、 アン・マレー1973年の大ヒット曲(ビルボードで7位)でもある#1。 カントリー音楽界のディーヴァ、マルチナ・マクブライトとの共演です。 ほんわかとした感じがいいですね。 惜しくも亡くなってしまったイギリス音楽界を代表するヴォーカリスト、 ダスティー・スプリングフィールド。彼女が大好きだったというアン・マレーが、 ついに彼女とデュエットできた#2。と言っても今の録音技術によってなのですが。 この曲を最初に録音したダスティーと同じ年にアンも録音していて、 彼女の代表曲の一つになりました。ビルボードでも12位を記録しています。 今ではもうカントリー音楽界の大御所になった観のあるエミルー・ハリス。 #3は彼女とのデュエットです。カナダの壮大な大地が目に浮かびませんか? もう40年も前にモンキーズが歌って大ヒットした#4。アンと一緒に歌っているのは、 2000年にデビューするや否や600万枚のアルバムセールスを記録してグラミー まで獲得してしまったポルトガル系カナダ人のネリー・ファータドです。 よっぽどアンとのレコーディングを楽しみにしていたのか、ネリーの声がとっても弾んでいますよね。 カルガリー出身のシンガー・ソングライター、ジャン・アーデンとは#5を歌います。 アンとは声の相性がピッタリだと思います。 フィギュアスケートの荒川静香がオリンピックで金メダルを獲った時に、 そのエキシビションで曲を使ったことから日本でも大ブレイクしたケルティック・ウーマン。 #6はアンと彼女達との息の合った歌声を聴く事ができます。 #7は、その曲の作者であるキャロル・キングとのデュエットです。作者と一緒に歌えるなんて、 何と素敵な事なんでしょうか。アンが歌ったこの曲は、 カントリーチャートで1985年に2位を記録しています。 沢山のヒット曲を持っているオリビア・ニュートン・ジョン。 彼女も元はと言えばカントリー音楽界の出身なんです。そのオリビアとの#8。 二人の息もピッタリで、なんか同窓会を開いているみたいな感じがします。 アンが1974年度のグラミーで最優秀カントリー女性歌手賞を受賞した曲#9。 最近デュエットといえば、必ずと言って良いほど登場するケイ・ディー・ラングとのデュエットです。 このアルバム中、一番声質が合っているような気がするのですが、どうでしょうか。 #10はグラミーで最優秀ポップ女性歌手賞を受賞した彼女唯一のNo.1ヒット曲。 2000年にグラミーでカントリー賞を受賞しているシャナイア・トゥエインとのデュエットです。 やっぱり名曲ですね。何だかとっても声が似ているなと思って聴いていた#11。 それも当たり前でした。アンの娘、ダウン・ランストロスとの2回目のコラボレーションだったのです。 親子で共演なんて、本当に嬉しかった事でしょう。勿論、息が合わない筈がありません。 素敵なトラックになりました。#12はビートルズで知っている方も多いでしょう。 ジョン・レノンから「カバーした中では最高」とのお墨付きをもらったこの曲は、 2002年にグラミーで最優秀新人女性歌手賞を受賞したシェルビー・リンとのデュエットです。 アンに3度目のグラミーをもたらせた曲#13。この曲で共演するのは、 グラミー賞を数度受賞しているエイミー・グラント。もう30年を越すキャリアなんですね。 クリスチャン・ミュージックの世界では彼女を超す人は当分現われそうにありません。 このゆったりとしたカントリー・ワルツ。あなたは誰と踊りたいですか? #14はアン4回目のグラミー受賞曲。アトランタ出身でグラミーの常連女性デュオ、 インディゴ・ガールズとの共演です。アンの最初に放ったヒット曲(ビルボードで8位を記録) でデビュー曲でもある#15。今や単なるミュージカル女優からアーチストに変貌を遂げた サラ・ブライトマンとの共演です。アンのアルトとサラのソプラノがとても気持ち良く耳に響きます。 こちらも楽しくなって来ますね。タイタニックの主題歌で大ブレイクし、 その後の介護休暇の後もラスベガスのショーが大ヒット。 あと少しで来日公演も控えているセリーヌ・ディオン。 彼女とアンとの1996年のモントリオールにおけるライブ収録#16。 実力があるとライブでも全く乱れませんね。どこかの国の歌手の皆さん、頑張って! と言いたくなります。(笑)アルバムの最後#17はフレンチ・カナディアンの イザベル・ブーレイとのフランス語によるデュエットです。元々は英語のこの曲。 フランス語でもピッタリですね。

 如何でしたか?ゆったりとした時が流れていったという感じがして、とても素敵でした。 アルバムの番号は、009463-86278-21で EMIから出ています。今のところ輸入盤だけですが、 3月19日に国内盤も出る予定(TOCP-70482)です。 ポップス&ロックのコーナーに行ってみて下さい。

2008.2.23