KENNY RANKIN

THE KENNY RANKIN ALBUM 〜愛の序奏


 春も本番です。これからゴールデン・ウィークが控えていますが、みなさんも色々計画がある事と思います。 ちょっと長めにリゾートでゆっくりする方、買い物に勤しむ方、勿論、休みが取れず仕事をする予定の方。 そんな皆さんが部屋に戻った時にホッとする音楽があります。今回紹介するケニー・ランキンの <ザ・ケニー・ランキン・アルバム〜愛の序奏>がそのアルバムです。

 ケニー・ランキンはこのコーナー、大分前の#13で一度紹介した事があります。今回紹介するこの作品は、 彼の1977年の発表で、長年CDの再発が待たれていたものです。皆さんの中には、もう知っている方も多いと思いますが、 まだ知らない方や、若い方に是非一度聴いてもらいたくて紹介することにしたのです。
 ケニー・ランキンについてここでちょっと紹介しておきましょう。
 17歳でUSデッカ・レーベルと契約を結び数枚のシングルレコードを出した後、 1963年にコロンビア・レコードに移籍、ボブ・ディランのアルバムに参加しています。そして、1967年、 デビュー・アルバム<マインドダスターズ>を発表、コンスタントにアルバムを発表していきます。 その後、一時レコーディングから遠ざかった時期もありましたがコンスタントにアルバムを発表して、 今までに10数枚のアルバムを残しています。今年の2月には数度目の来日を果たし、 丸の内にあるコットン・クラブで素晴らしいライヴを聴かせてくれた事はまだ記憶に新しい事です。

 さて、このアルバムは、フランク・シナトラのアレンジや指揮で有名な ドン・コスタが参加していることにより豪華なオーケストラがバックを彩ってとても素敵な作品になっています。 ホッとしたい時やぼんやりと景色を眺めている時に流れていたら、どんなに心が癒されるでしょうか。

 それでは紹介していきましょう。

 ギターの弾き語りで始まる#1。ハンク・ウィリアムズの有名曲ですが、 途中から入ってくるストリングスの調べが一服の清涼剤とでも言いましょうか、心を落ち着かせてくれます。 もうケニー・ランキンの世界に引き込まれてしまいますね。フランク・シナトラが取り上げてからスタンダード曲となった#2。 ケニーの声にピッタリの選曲です。ケニー自信の作品#3。ピアノの力強い伴奏が彼の心情を物語っているようです。 スティーヴン・ビショップのヒット曲#4。ゆったりとした時間が流れていきます。ジョー・コッカーの大ヒット曲で、 作者のビリー・プレストンも自身のアルバムで歌っている#5。ケニーのファルセットとも何とも言えない高音の響きが心地良く、 ストリングスが夢の世界へと誘ってくれます。フェリックス・キャバリエが所属していたラスカルズ。 彼らのヒット曲のカヴァー#6は潮風に運ばれてくる清涼剤の様。目をつぶると南の海が見えてきませんか? ジョージ・ハリソンが作った涙なくしては聴くことの出来ない名曲#7。 ケニーの歌声とストリングスの響きが更に哀しみを助長しますね。素晴らしいテイクです。私のお気に入りの曲#8。 失恋したサニーという女性を励ますという、どうって事無い歌ですが、メロディーの素晴らしさからナット・キング・コール、 ジョニー・マチス、アニタ・オデイ、カーメン・マックレイなど多くのヴォーカリストにカヴァーされています。 ケニーのヴァージョンは、あまりにも美しく透明でこの曲の数あるヴァージョンの中でも突出しているといって良いでしょう。 ケニー自身の作品#9。ユーミン初期の作品を連想させる曲ですね。この頃作られた音楽って本当に素敵です。 アルバム最後の#10もケニーの手によるもの。大地の広さを感じさせる曲ですね。ホッとします。

 如何でしたか?とても落ち着けたのではないでしょうか?頭も体もリフレッシュした〜!ってな感じでしょ。 傑作と言っても過言ではありませんね。アルバムの番号は、VACM-1350(国内盤)でコロンビア・ ミュージックエンタテイメントから出ています。ポップ&ロックのコーナー、AORのコーナーに行ってみて下さい。

2008.4.19