dianne reeves

when you know


 ゴールデン・ウィークも終わり、何となくホッとしている方も多いのではないでしょうか。えっ? それどころじゃない、仕事が沢山溜まっちゃって〜、と嘆いているあなた、せめて気分はリゾートへ。 今回紹介するアルバムは、ダイアン・リーヴスの<ウェン・ユー・ノウ>(日本盤のタイトルは、 <ラビン・ユー>)。南から爽やかな風を運んでくれます。

 ダイアン・リーヴス。彼女、実は私にとってはあまり好きな歌手ではありませんでした。 グラミー賞を4度も受賞しているジャズ・ヴォーカル界では正にトップクラス。でも、 その歌い方が私の好みではなかったのです。 今回5年ぶりに発表されるアルバムも初めは手が伸びませんでしたが、 曲目を見て手に取り早速聴いてみると、今までの彼女とはまるで違った世界がそこに現われたのです。 疲れた体を癒してくれる今回のアルバム。南の島から吹いて来る爽やかな風のような、 そんな素敵なアルバムです。

 彼女を知らない方のために、ちょっと彼女、ダイアン・リーヴスを紹介しておきましょう。
 1956年アメリカのデトロイトで生まれた彼女は8歳からピアノに親しみ、ヴォーカルは12歳で始め、 なんと15歳でプロとしてデビュー。学業と平行しながらトランペットのクラーク・テリー、 ピアノのビリー・チャイルズ、さらにセルジオ・メンデスらと共演、ついに1981年、 初のリーダーアルバムを発表することになります。その後はグラミー賞の常連になるほどの活躍で、 数年前にも映画<グッドナイト&グッドラック>のサントラに参加、4度目のグラミー賞を獲得しています。 今回のアルバムは彼女のグラミー賞に輝いたアルバムの2作をプロデュースした ジョージ・デュークを再びプロデューサーとして迎え、極上のポップなアルバムに仕上がっています。

 それでは紹介していきましょう。 

 リゾート気分を満喫できる#1。 1970年のテンプテーションズの代表曲としてソウルファンにはお馴染みですね。 この曲でこのアルバムが「決まった!」といってもいいでしょう。サビへの展開がとても素晴らしい#2。 週末の小旅行に深い森へ行った気分です。日本盤のタイトルにもなっている 1975年ミニー・リパートンの大ヒット曲#3。今まで色々なカヴァーを聴いてきましたが、 カヴァーとしてはもう最高です。リラックスした彼女の声が心地よい眠りを誘い、正に夢心地。 最後のハイトーンヴォイスで眠りに落ちた、という感じですね。歌手のペギー・リーは 作曲の能力にも長けていましたが、その彼女とサイ・コールマンの作った#4はとても美しく、 ダイアン・リーヴスも曲の美しさを壊すことなく、これも美しく歌っています。 このアルバムの中でもベスト・トラックといえるでしょう。軽いレゲエ風なアレンジで歌う#5。 アントニオ・カルロス・ジョビン作曲の有名曲#6。耳には波の音、顔には優しい風。 そんな気持ちになって、ゆっくりと時が過ぎていくようです。あ〜、気持ちいい。 ミシェル・ルグランの代表曲の一つ#7。軽くスウィングする#8。いいですね。 オリジナル盤のタイトルになっている#9。どこかミュージカル風な感じでスケールの大きさを感じます。 オリジナル盤最後の#10はダイアンの解説が最初に入ってます。 とてもブルージーな曲で手拍子を打ちたくなりますね。日本盤には最後にボーナス・トラックとして <プロミス>という曲が入っています。

 如何でしたか?ゴールデン・ウィークで疲れた体を癒したり、 本格的な夏を前に聴くにはとても素敵なアルバムでした。
 アルバムの番号は、輸入盤が 0946 3 89658 2 4 でブルーノート・レーベルから、 国内盤はTOCJ66441でEMIミュージック・ジャパンから出ています。 ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。

2008.5.10