POLLY GIBBONS

Moanin'


 梅雨の季節は何となく外出が億劫になるもの。そんな時は、 部屋で好きな音楽でも聴きながらリラックスしてみたら如何でしょうか?今回紹介するポリー・ギボンズの <モーニン>はお酒にもコーヒーにも、そして紅茶にも合う音楽です。

 もう彼女の名前はジャズの専門誌などで耳にした事がある方も多いと思います。 若干23歳でイギリスはBBCのジャズアワード新人賞を受賞した、今話題のヴォーカリストだからです。

 ポリー・ギボンズ。彼女をまだ知らない方の為に、ここで少し彼女を紹介してみましょう。

 今年で25歳になる彼女は1983年、イギリスの南東部、人口70万人弱の穀作地帯サフォークの出身。 子供の時から歌に親しんできた彼女は、ハイスクールに入学したばかりの時、偶然聴いた デューク・エリントンが切っ掛けでジャズに傾倒していったのです。勿論、 その他の音楽に興味が湧かなかったのではありません。その証拠に、ヒップホップのグループや、 ソウルのグループのレコーディングにも参加しています。2006年にはロンドンにある有名なクラブ、 <ロニー・スコット>でプロモーション・レコーディングを行い、その年、 先ほども言った様にBBCジャズアワードの新人賞を獲得してしまいます。そして、10月には <What's the real reason>でソロデビューを飾ります。その彼女が放った第二弾がこの<モーニン>です。 今、最も注目を集めるアーチスト、ポリー・ギボンズ。ジャズだけではなく、 ソウルやブルースのフィーリングも持ち合わせた、目の離せないアーチストです。

 それでは紹介していきましょう。

 ジェームス・テイラーの曲で始まる#1。 ランディー・クロフォードがデビューした時に受けた衝撃と同じものを感じたのは私だけではないでしょう。 この一曲で彼女の才能を感じてしまいます。リズムのアレンジが変わっていて面白い#2。 ビリー・ホリデイの代表曲#3。ギターとのデュオでしっかりと歌詞を伝えているところが素晴らしいです。 約20年前にフィビー・スノーが発表したアルバムのタイトル曲#4。歌詞の内容は別にして、 雰囲気は午後のティータイムにピッタリですね。再びビリー・ホリデイの名作#5。 教訓めいた歌詞はどこか今の時代にも通じるものを感じます。タイトル曲の#6。 あまりヴォーカルでは取り上げない珍しい選曲です。間奏がイカシテますよ。 べナード・アイグナーが作ったエヴァー・グリーン・ソング#7。本当にいい曲ですね。 彼女の表現力も素晴らしいのひと言です。 単純でありながら深い意味を持った歌詞にこれまた深い歌唱で応えた彼女。本当に20代半ばとは思えません。 数年前に公開された映画で亡くなった後も新しいファンが増えているレイ・チャールズ。 彼の半世紀前の大ヒット曲#8。ポリー・ギボンズのオリジナル#9そして#11。 細かいビブラートが雰囲気を醸し出しますね。ソングライターのセンスも中々のものです。 ライヴで聴いたらニヤニヤしてしまいそうで素敵な#10。彼女の歌に出会えて幸せを感ぜずにはいられません。 アルバム最後の#12はR&Bのピアニスト兼歌手のトミー・タッカーの作品。本当に範囲が広い歌い手です。

 如何でしたか?皆さんも彼女の虜になってしまったのではないでしょうか。ジャズに限らず、ソウル、 ブルース、ポップと何でもこなしてしまうポリー・ギボンズ。正に、今注目したいシンガーでした。
 アルバムの番号は、XQCM-1305で株式会社モジョ(MOJO)から出ています。 ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。

2008.6.14