EARL KLUGH

The Spice of Life


 今年は本当に暑く感じます。年々進む温暖化のせいもあるのでしょうが、 私の歳になるとこの暑さについて行けなくなってしまいます。本当に辛い季節です。(笑)
 そんな時、エアコンの効いた部屋でこんな爽やかな音楽を流していたら、 きっと気分も爽快になること間違いありません。今回紹介するアール・クルーの新作、 <スパイス・オブ・ライフ>はこの夏にピッタリなアルバムです。

 アール・クルーはこのコーナー#133で紹介していますが、簡単にもう一度紹介しておきましょう。
 1954年9月16日、アメリカはミシガン州、デトロイトで生まれた彼は母親が見ていたTVの <ペリー・コモ・ショー>を偶然見て音楽に興味が湧いたようです。そして10歳でギターを習い始めます。 18歳でジョージ・ベンソンのレコーディングに参加、20歳の時にはチック・コリアの伝説的バンド、 <リターン・フォーエヴァー>にエレクトリック・ギターで参加しますが、わずか2ヶ月で退団してしまいます。 その2年後、ブルーノート・レーベルと契約したかれは1976年、1stアルバム<Earl Klugh>を発表、 1981年にはボブ・ジェームスとの共作 <One On One>でグラミー賞を受賞します。その後、ワーナー →  ウィンダムヒル → コーチとレコード会社を移籍して現在に至っています。 今回紹介するアルバムはグループ作品としては8年ぶり、 このコーナー#133で紹介したソロアルバムからも3年ぶりの作品となります。

 アルバムの紹介の前にちょっと余談を。先ほど紹介した彼の生年月日ですが、 インターネットのフリー百科事典でお馴染みのWikipedia (ウィキペディア) 日本語版では1954年6月16日生まれとありますが、これは誤りで、 9月16日生まれが正確なものですのでお間違えのないように。

 それでは紹介していきましょう。

 夏全開と言わんばかりの#1。途中から入ってくるストリングスが爽やかな風を送ってくれますね。 「さて、ここで道路交通情報です」と言ったアナウンスが聞こえてきそうな#2。 だら〜っと過ごしている自分を見られているような感じです。数年前に行ったカナダのウィスラー。 そこでトレッキングをしたのですが、その時見た夕陽が今も忘れられません。そんなイメージの#3。 タイトルが示すように、ベネズエラの夜が目に浮かぶ様な#4。素敵な曲です。 波に漂っている様で気持ち良い#5。ベースの響きが身体を乗せる#6。ちなみにタイトルの「スナップ!」は、 トランプでの掛け声のこと。セロニアス・モンク作の#7はドラムとの掛け合いが絶妙で、 バックに流れるストリングスとのバランスが何とも言えずに最高です。優しさが胸の奥まで伝わってくる#8。 起きて窓の外を見ると朝靄(あさもや)に煙っている。その靄が段々晴れて来る様な感じの#9。 日本ではシャンソン歌手イヴ・モンタンでお馴染みの#10。ほのぼのとした感じが良いですね。 まっすぐな道をオープンカーでドライヴしているような気になる#11。気持ちい〜〜ぃ! 本来はバラッドで演奏される事の多い#12。ここではちょっと跳ねてます。 でもとってもリゾートな気分にしてくれますね。アルバム最後の#13はギターのソロです。 最後を飾るのにとても相応しいナンバーでした。

 如何でしたか?1999年に亡くなった彼の母親に捧げられたこのアルバム。とても素敵でしたね。 気分爽快。正にこの言葉がピッタリでした。部屋でも屋外でも、 どちらで聴いても爽やかな気持ちにさせてくれそうです。アルバムの番号は、 KOC-CD4500でKOCHレコードから出ています。今のところ輸入盤のみの発売です。 ジャズのコーナーに行ってみて下さいね。

2008.7.20