MILTON NASCIMENTO & BELMONDO

MILTON NASCIMENTO & BELMONDO


 暑い日が続きますが、こんな時、清涼飲料水の役割を果たしてくれる音楽は如何でしょうか? 今回紹介する「ブラジルの声」と言われるミルトン・ナシメントと「フランスの気鋭」 ベルモンド兄弟の贈るアルバム、<ミルトン・ナシメント&ベルモンド>は、正に清涼飲料水そのもの。 す〜っと身体の中が浄化されていって、聴き終わった時に爽やかさの残るアルバムです。

 このアルバムの主役についてここで少し触れておきましょう。

 ミルトン・ナシメントは1942年、ブラジルはリオ・デ・ジャネイロ生まれ。 20歳頃から本格的に音楽活動を開始して、1967年にA&Mレーベルからデビューアルバムを発表。 翌年、CTIレーベルからアルバム<ブリッジ>を発表するとアメリカ音楽界から注目が集まります。 1974年にウェイン・ショーターのアルバム<ネイティブ・ダンサー>に参加すると、 彼の才能が全世界に知れ渡ります。今年のグラミー賞を獲ったハービー・ハンコックや クインシー・ジョーンズ、ジョージ・デューク、サラ・ヴォーン、そして、ピーター・ゲイブリエルまで、 世界の一流のアーチストと幾度も共演し、1998年にはグラミー賞も受賞。最近では、 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品を、そのファミリーと共に作り発表した事でも話題になりました。
 一方のベルモンド兄弟ですが、<フランスのマルサリス兄弟>と言われているフランスジャズ界の気鋭です。 兄のリオネル・ベルモンドはサックス奏者でアレンジャー、弟の ステファン・ベルモンドはトランペットの魔術師と言われるほど超テクニックの持ち主です。 更にこのアルバムでは、ピアノのエリック・レニーニやドラムのアンドレ・チェカレリも参加、 ストリングスで参加しているフランス国立イル・ド・フランス・オーケストラ と共にこのアルバムを盛り上げています。

 それでは紹介していきましょう。

 ホーンとミルトンの声が不思議に一体化する#1。何とも言えない静寂の世界観がそこに見えるようです。 #1から続くようにしてホーンに導かれて入る#2。ドリー・カイミィがアレンジして話題になった サラ・ヴォーンのアルバム<ブラジリアン・ロマンス>でもミルトンが参加していて、 そのアルバムのトップを飾っていましたね。エリック・レニーニのピアノが抜群の#3。 インディアナ・ジョーンズのトロッコでアマゾンを駆け抜けているようですね。一転して静寂が訪れる#4。 靄の中、手探りで森を歩いている感じです。美しい時間が流れて行きます。本当に美しいですね。 アメリカの音楽界がミルトンを注目する切っ掛けとなったアルバム<ブリッジ>。その表題曲#5。 ジャズだぁ〜!といったレニーニのピアノが素敵です。 ミルトンの声とオーケストラの見事なコラボレーションにニヤニヤしてしまう#6。 ブラジル音楽とジャズとを融合させた#7。アレンジの面白さに注目です。 ピアノとヴァイオリンの為の曲としてラヴェエルが作ったクラシックの曲にこのアルバムのもう一人の主役、 ベルモンド兄弟の兄、リオネルが新しいメロディーを重ねた#8。ミルトンはアコーディオンで参加していますが、 クラシック、ブラジル、ジャズの3種の音楽が一つの音楽として生まれ変わった素晴らしいトラックです。 ホーンセクションとストリングスとミルトンの声のバランスが絶妙な#9。祈りを捧げたくなります。 そしてそれに続くアルバムの最後#10は再びアルバムトップの曲に戻ります。

 如何でしたか?不思議な魅力があって、聴いていく内にどんどん引き込まれてしまうアルバムでしたね。 音楽ってジャンルが関係ないんだなって改めて感じた次第です。
 アルバムの番号は、RCAR0004で株式会社ウイントから出ています。 ブラジル音楽のコーナーに行ってみて下さい。

2008.8.9