Nicole Croisille

Tu me manques


 東京の今年の夏は天候不順で前半は猛暑、後半はゲリラ雷雨の連続でした。しかし、 季節はちゃんと移っていきます。最近は朝晩とても過ごし易くなって来ました。 そんな季節が変わる情景を目に浮かばせてくれるアルバムが発売されたので紹介しましょう。 このコーナー2回目の登場、ニコル・クロワジールの新譜、<Tu me manques〜見捨てられた私>です。

 二コール・クロワジールに関しては、前回(#156)このコーナーで紹介していますので、 そちらを参考にしていただくとして早速紹介していきましょう。

 タイトルにもなっている#1。捨てられた女の淋しい気持ちが伝わってきますね。 夏が終わってしまう感じがしませんか?軽いボッサで心地よい#2。その中に強い意志を感じる曲ですね。 夕方の海を見つめている一人の女性。そんな絵が浮かんでくる#3。夏が去ったと同時に相手の気持ちも・・・。 涙がこぼれ落ちてきます。ストリングスが効果を上げていますね。 前にこのこのコーナーでボッサ・ノーヴァは夏でなくとも合う音楽だ、と書きましたが、 #4は正に<冬のボッサ・ノーヴァ>。優しく温まる音楽です。次の#5は軽快に進みます。 ちょっと早めのチャチャに体が動いてしまいそうです。「ダンス・アヴェック・モア」 という歌詞が頭から離れない#6。バックのコーラスも気分を上げてくれますね。 フワフワした不思議な気持ちになる#7。以前にもあった様な何かを感じる。 そんな事あなたにも経験あるんじゃないでしょうか?恋の追いかけっこの様に曲が進む#8。 終わり方がお洒落です。昔のシャンソンの優雅さを感じさせる#9。いい気持ちになりますね。 さ〜っとあっと言う間に流れ去ってしまう風の様な#10。 ニコル・クロワジールがフランス語に翻訳したイヴァン・リンスの代表曲#11。 時がゆっくり流れていきますね。トランペットの音色が風景を見せてくれているかの様です。 アルバム最後の#12はジャズ・ボッサとでも言う感じの曲。「気持ち(恋心)は何時も青春してる」 という内容ですが、彼女の歳を考えると、正に彼女は今、再び青春期なのかも知れませんね。

 如何でしたか?夏が去って行く情景が見えるようなアルバムでした。72歳とは思えない歌声。 アルバム最後の曲<Le Coeur Adolescent〜若い気持ち> を何時も持ち続けてこれからも 歌い続けてもらいたいものです。本当に素敵なアルバムです。
 アルバムの番号は、INF-0801で INFLUENCEレーベルから出ています。残念なことに、 扱っている所が大変少なく、輸入盤を扱っているお店(タワーレコードやHMV)に注文していただくか、 フランス音楽専門店(エム・イン・フランスなど)に問い合わせて頂くかで購入できると思います。

2008.9.15