JOHNNY MATHIS

a night to remember


 ジョニー・マチスと聞いて、懐かしいと思った方も多いと思います。<ミスティー>を始め、 数々のヒットを放った彼も、もう70歳を過ぎてしまいました。でも、音楽活動は活発に行なっています。 日本には一度だけしか来日していないからか、その存在は往年のファンだけに留まっている観があります。 しかし、その歌声は永遠のロマンスを私達に与えてくれます。そんな彼の最新アルバム、 <ア・ナイト・トゥ・リメンバー>は、クリスマス・シーズンにピッタリ。 聴く者全てにロマンスを与えてくれそうです。

 ジョニー・マチスを知らない方の為に、少し彼を紹介してみましょう。

 7人兄弟の4番目として1935年にアメリカはテキサス州に生まれたかれは、間もなく サン・フランシスコに移住して、そこで学生までの期間を過ごします。彼に最初の歌を教えてくれたのは、 紛れも無い彼の父親でした。その歌は、<マイ・ブルー・へヴン〜私の青空>。 かつて日本でも榎本健一の歌で一世を風靡した歌です。 彼が8歳のときに家にピアノが購入され音楽との触れ合いがさらに強まったのですが、 かれは音楽にだけ興味をそそられたわけではなく、 後には陸上やバスケットの世界でもその名を知られる事となるのです。13歳の時、 ヴォイス・トレーナーのコニー・コックスと出会い、彼の元で6年間トレーニングを受けます。 1954年、大学に進学した彼は物理学を学びますが、その頃、走り高跳びで、 オリンピック記録をわずか2インチ下回る記録を作ったことで、 サン・フランシスコのベイ・エリアではオールラウンドのアスリートとして有名になっていました。 その2年後、メルボルン・オリンピックの候補となって、 そのトライアルに出場するために訪れたニュー・ヨークで彼を待ち受けていたものは、 彼の父親が準備していたコロンビア・レコードでのレコーディングでした。 1956年3月に最初のアルバムレコーディングをした彼でしたが、 そのレコードはあまり良いセールスを記録する事ができませんでした。が、 当時全盛だったニュー・ヨークのヴィレッジ・バンガードやブルー・エンジェルといった ナイトクラブに出演の機会を得て、その歌声は段々知れ渡る事となるのです。そして、 その年の秋にミッチー・ミラーのプロデュースの元、2枚のシングル・レコードを録音し発売したのですが、 その内の<Wonderful Wonderful>がビルボードのポッ プ・ チャートにランクイン。次に出した <Chances Are>が堂々の1位を記録します。その後は破竹の勢いでヒットを連発。 1959年にはジョニーの代名詞とも言うべき<Misty>が大ヒットを記録します。 その後に発売した彼のベスト盤は、なんと490週、約10年にも亘りビルボードにチャートインし、 そのアルバムはギネスにも登録されました。1980年代になってもデニース・ウィリアムズ、 ディオンヌ・ワーウィックらとのデュエットでチャートの上位に食い込むなど活躍し、 今でもナイトクラブへの出演、コンサートなど精力的に活躍しています。そして、 その甘い歌声で聴く者をロマンチックな世界に誘ってくれています。2003年にはグラミー賞の 「生涯功労賞」を受賞している彼の既に発売されたアルバムはベスト盤を含んで100枚ほどにもなります。 そんな彼の新作、<ア・ナイト・トゥ・リメンバー>。クリスマスには是非聴いて頂きたいアルバムです。 それでは紹介していきましょう。

 この曲を最初に聴いた時の衝撃は並大抵のものではなかった事を今も鮮明に覚えている グローバー・ワシントン・ジュニアのアルバム<ワインライト>にの中でビル・ウィザーズが唄った#1。 ここではケニー・Gがフューチャーされて気分を盛り上げてくれています。 25年位前までは正月が来ると来日公演が必ずあったスタイリスティックス。彼らの大ヒット曲であり、 ディスコ世代には忘れられないチークタイムの曲がこの#2でした。ここでは ヨランダ・アダムスとのデュエットであの当時の雰囲気に誘ってくれます。 先にも言ったジョニーとデュエットでもヒットを飛ばした事のあるディオンヌ・ワーウィック。 彼女の大ヒット曲#3。バックグランドヴォーカルの面々が中々いい味をだしていますね。 先ごろ来日して久し振りの単独公演を大成功の内に終わらせたキャロル・キング。 彼女の作品で多くのアーチストにカヴァーされている#4。ジョニーの声は、 何故か私達をふわふわした気分にさせてくれます。 蒼い光の中で抱き合っている男女のジャケットが素敵だったロバータ・フラックのアルバム <ブルー・ライト・イン・ザ・ベースメント>。そのアルバムの中で、 彼女には無くてはならない存在だったダニー・ハザウェイとデュエットしていた#5。 ジョニーの唄を聴いているとジャケットに写っていた男女が踊っている姿が目に浮かびますね。 そのロバータ・フラックとダニー・ハザウェイの名前を冠にしたアルバムに入っていた#6。 心地よいバックのサウンドは、高速道路をドライブしている感覚になります。 イントロ・クイズがあったら直ぐに分かるほど大ヒットしたデ・バージの#7。 甘〜い香りが漂ってきそうです。この#8もイントロを聴いただけで早押しが出来る アトランティック・スターの大ヒット。中音域に魅力のあるモネッツをゲストに迎えてロマンチックに唄います。 サックスのデイヴ・コッツを迎えた#9。70年代に流行ったAORの復活のようなトラックですね。 1970年代〜80年代前半にかけては美しい音楽があふれ出ていた時代ですが、 シャンペーンが放った#10も単純なメロディーと歌詞の中に、美しさが溢れていました。 ジョニーをサポートしているバックのコーラスがいいですね。ロッド・テンパートンの作品#11。 この曲を聴いてロマンチックにならない人がいるでしょうか?蕩けてしまう様なジョニーの声。 思わず隣に居る誰かの腰に手を回してしまいそうです。このアルバム最後の#12は、 アルバム・タイトルにもなています。 グラディス・ナイトとのデュエットはゾクゾクするほどスリリングで優しさに溢れていますね。 幸せな気持ちになるのは決して私だけではないでしょう。それにしてもグラディスの唄の上手さ。 脱帽物ですね。

  如何でしたか?とっても暖かくて幸せな気分になりましたね。クリスマス・シーズンにピッタリでした。 あなたもこのアルバムをかけながら、誰かとクリスマスを過ごしてみては如何でしょうか。アルバムの番号は、 88697 10038 2 でコロンビア・レーベルから出ています。今のところ輸入盤のみの発売です。 ポップ・ヴォーカルのコーナーか、男性ジャズ歌手のコーナーに行ってみてください。

2008.12.14