稲垣潤一

男と女〜Two Hearts Two Voices


 稲垣潤一と聞いて懐かしいと思った方も多い事でしょう。ず〜っとJ-POPの世界において、 所謂AOR路線を貫いているアーチストです。今回は彼の新作を紹介することにしました。と言うのも、 その内容が大変素晴らしく、新しい発見や再確認する事が多々あったからです。

 稲垣潤一を知らない方の為に、ここで少し彼を紹介してみましょう。

 1953年7月宮城県仙台市生まれの彼は、今年55歳。中学の頃からバンド活動を開始して、 高校卒業後、ライヴハウスや米軍基地内のクラブでライヴ活動を開始し、 ドラムを叩きながら歌うというスタイルを確立。1982年デビューすると、 瞬く間に人気が出てヒット曲を連発、1983年にはアルバム「SHYLIGHTS」で、 1986年にはアルバム「REALISTIC」で日本レコード大賞のベストアルバム賞を獲得、 翌年には日本作曲大賞で「思い出のビーチクラブ」で大賞受賞、1993年には 「クリスマスキャロルの頃には」で日本ゴールドディスク大賞を受賞と活躍。 今も熱心なファンが多いアーチストです。
 そんな彼が発表したニューアルバム、<男と女〜Two Hearts Two Voices>は、 J-POPの名曲を女性歌手とのデュエットで歌うという企画アルバムです。 とても素晴らしい出来栄えのこのアルバム。早速紹介していきましょう。 

 高橋洋子とのデュエットで贈るユーミン(松任谷由実)作品#1。 ちょっとデュエットの上下パートの分担を間違ったかな、とも思えますが、中々いいスタートです。 シングルカットもされた#2。小柳ゆきが抑えて抑えて歌っているのが、 かえって彼女の歌の巧さを引き立たせています。聖子ちゃん(松田聖子)の作詞、作曲 (作曲はRyo Oguraとの共同作業)の#3。前から歌はまあまあだと思っていた「あやや」こと、 松浦亜矢とのデュエットです。思った以上に歌の巧さが増している「あやや」。 これからが楽しみですね。ちょっと情報不足のせいか、最近名前を聞かなかった辛島美登里。 彼女の健在ぶりが分かって安心した#4。明菜ちゃん(中森明菜)の大ヒット曲#5。 ここでちょっとネチッコイ歌を聴かせているのはTRFのヴォーカルYU-KIです。 中々素敵なハーモニーですね。#4でデュエットしていた辛島美登里の#6。 大貫妙子の歌声は辛島美登里よりもこの曲にピッタリだと思いませんか?再びユーミン作品の#7。 コアなファンが多い露崎春女。アルトの声が大人の雰囲気を感じさせます。 アルバムを発表するたびにヒットチャートの上位にランクされる竹内まりや。 彼女の作品#8でデュエットしているのは、トワ・エ・モアの白鳥英美子と彼女の娘、マイカ。 彼女の中音が竹内まりやに似ているのに驚いたのは私だけでしょうか。 オリジナル曲を歌っていた歌手がこのアルバムで歌うのは、この#9だけです。もうお分かりですね。 太田裕美の大ヒット曲です。しかし、彼女。もう50歳は超えているはず。 この変わらない声はどうなんでしょうか。(笑) CDで良かったです。 落ち着いた#10はオフ・コースの大ヒット曲。今聴いても古さを感じさせない素敵な曲ですが、 ここでデュエットしているのは#7のオリジナル曲でスキャットをしていた元<赤い鳥>、 そして<ハイ・ファイ・セット>の山本潤子。それにしても彼女の歌の巧さには脱帽するしかありません。 本当に巧い!70年代には、こんな巧い歌手が沢山いました。さて、このアルバム最後の#11は、 このアルバムの中でも出色です。勿論、稲垣潤一の大ヒット曲ですが、デュエット相手は中森明菜。 とってもいいですね。シングル・カットしても良いんじゃないでしょうか。

 如何でしたか?とっても素敵なアルバムでしたね。それにしてもデュエットしている女性歌手の巧い事。 名曲を録音しているアルバムが最近ブームになっていますが、その中でも、このアルバムは突出しています。 本当に素晴らしいアルバムでした。
 アルバムの番号は、UICZ-4187。デュエット用でしょうか、カラオケCDが付いている2枚組みもありまして、 そちらは、UICZ-4189/90です。J-POPのコーナーに行ってみて下さい。

2008.12.28