Ariel Asselborn

Una flor de vez en cuando(時には一輪の花を)


 年が明けて寒い日が続いています。そんな時は、 温かな飲み物を暖かな部屋で落ち着いた素敵な音楽を聴きながら飲みたいものです。 今回紹介するアルゼンチン生まれのギタリストでシンガー・ソング・ライターの アリエル・アッセルボーンの奏でる音楽は、そんな状況にピッタリ。 ホッとするひと時を約束してくれます。

 アリエル・アッセルボーンについて知らない方の為に、ライナーノーツを参考に、 ここで少し彼を紹介してみましょう。

 1976年にアルゼンチンはブエノスアイレスに生まれた彼は、 幼い頃から音楽に親しんで10歳でギターを独学し始めます。20歳の時には、 アルゼンチンで行なわれた数々の音楽コンクールで優勝。ボリビアの民俗音楽グループ <ロス・ライカス>に所属。 2001年に初来日を果たすと2003年からは日本に移り住んで東京を中心に活動していますが数年前からTVのCMで彼の音楽が使われ始め、 話題になっています。最近ソロアルバムとしては2枚目が出ましたが、今回は、 彼のデビューアルバムを紹介していこうと思います。

 それでは、紹介していきましょう。

 冬の凍るような朝、目が覚めてカーテンを開けるとそこに広がる真っ白な世界。 静寂が自分を包んでくれる#1。彼の恩師に捧げた一曲です。幼い頃に見た小さな十字架。 その風景を歌った#2。詩をじっくり聴いて下さいね。初恋の頃を想い出させる#3。 ギターの響きに人生の道筋が語られる#4。こんな詩が書けたら、とため息を漏らしてしまいます。 彼が16歳で初めて書いたギター曲の#5。ギターの向こうに情景が現れます。 アルゼンチン北部のティルカラという村で2月に行なわれる祭りの風景を歌った#6。 地味ながら残っていく伝統ある祭りの風景が目に浮かびます。彼の掛け替えの無い友人、 レオナルド・ブラーボとのギター・デュオ#7。最近世界中で禁煙の輪が大きくなっていますが、 タバコの持つ不思議な魅力。吸えないけど吸ってみたくなる、そして、タバコが有るだけで、 何か雰囲気を作り出してしまう。そんなタバコを題材にした#8。フォルクローレの色が濃い#9。 ギターと共に聴こえるのはチャランゴというアルマジロの甲羅を胴にした楽器です。海で自殺した女性詩人、 アルフォンシーナ・ストルニをモデルに作られた#10。何時聴いてもこの曲は美しく哀しい。 名曲中の名曲ですね。ギターも泣いています。タンゴの基になった音楽ミロンガ。 #11はそのミロンガをギターのデュエットで聞かせます。何処か哀愁を感じませんか? ケーナ奏者の山下洋平と制作したアルバムにも入っていた#12。 明るい陽射しが差し込んでくるような曲調ですね。冬から春へ。そんな感じで心が落ち着きます。 春の暖かさや陽気さが伝わってくる#13。ボーナストラックでアルバム最後の#14は、 先ほども出てきたチャランゴの独奏で始まります。 ナナムスクーリや沢田研二の歌でもお馴染みなこの曲は正に春。 陽射しが強く差し込んでくる光景が瞼の向こうに広がります。

 如何でしたか?とても素敵なアルバムでしたね。アルバムの番号は、 CRLD-3001でオフィス・カルディナールから発売されています。 ワールド・ミュージックのところへ行ってみてください。

2009.1.24