CHARLES AZNAVOUR

DUOS(ふたりの奇跡)


 シャルル・アズナヴールはこのコーナーでは、過去に#2、#134の2回登場して今回が3回目です。 詳しいプロフィールは#134を参考にしていただくとして、簡単に彼を紹介すると、 1924年5月22日生まれですから今年85歳の彼は、#134で紹介した2005年のアルバム <INSOLITEMENT VOTRE>の後2006年から「ありがとう、さよなら公演」をニュー・ヨークからスタートし、 2007年には日本でも7公演を行い大変歓迎されました。その後、アルバム<COLORE MA VIE>を発表、 健在ぶりをアピールしていました。そして、昨年の暮れにこのニュー・アルバムを発表。まさに「生涯現役」 の歌手、シャルル・アズナブールです。今まで60本以上の映画にも出演していますし、 世界中で1億枚以上のアルバムセールスを記録しています。そして長年の功績に対して、今年 (2009年)の国際音楽見本市<MIDEM>で彼に<ライフ・アチーブメント賞>が贈られています。

 今回紹介するアルバム<デュオ〜ふたりの奇跡>は、世界の名だたるアーチスト達との デュエットアルバムです。それも2枚組み。それでは紹介していきましょう。

 まずはDISC−1から紹介しましょう。

 このアルバムのタイトルにピッタリの#1。セリーヌ・ディオンとのデュオは甘くて素敵です。 日本でも1980年代に一世を風靡したフリオ・イグレシアス。彼との#2は南国の風を感じます。 クラシックのプラシド・ドミンゴの歌い方がとても詰らなく聴こえる#3(笑)。 イタリアで大人気のラウラ・パウジーニとの#4ではまるで孫をあやしているかの様に優しく導く アズナヴールの姿が目に浮かびます。楽譜に忠実に歌っているエルトン・ジョンとの#5。 エルトン・ジョンとは思えない真面目な歌い方に驚いた方も多いのではないでしょうか。 彼のアズナヴールに対する敬意の表れでしょうね。 今だフランスではヒットチャートを賑わしているジョニー・アリディー。 彼との#6はお互いの功績を称えあっているかの様です。 ちょっと声の衰えが気になるナナ・ムスクーリとの#7。 霧に包まれているかの様な声で歌うスティングが印象的な#8。 アズナブールの数々ある曲の中でも特に人気の高い#9は、 世界中で人気沸騰中のクラシック歌手ジョシュ・グローバンと。しかし、 やはりドミンゴの時も言いましたが、クラシックの歌い方にはイマイチ合ういません。 独特の雰囲気を作ってしまうキャロル・キングとの#10。素敵です。 フランス語と英語で歌い綴る#11はポール・アンカとのデュオ。 青春を想い出しながら明日に向って行く明るさをポール・アンカの声が与えてくれます。 このアルバムで最高の出来ではないかと思います。ドイツのヘルベルト・ グレーネマイヤーとの#12は昔の悪事を楽しく語り合っている様で楽しいトラックになりました。 DISC−1の最後#13はエディット・ピアフとのデュオ。もう何も言わなくてもいい、と言う感じです。

 それではDISC−2を紹介しましょう。

 英語ヴァージョンでも楽譜に忠実に歌っているエルトン・ジョンが可愛く思える#1。 英語とフランス語を混ぜて歌う#2。流石にライザ・ミネリの歌は3分間の芝居になっています。 感激ですね。英語版の#3は再びスティングと。はっきりとした英語が素晴らしいフランク・シナトラ。 彼とのデュエット#4は大人の雰囲気いっぱいです。ナナ・ムスクーリとアズナヴールの英語版#5。 ブライアン・フェリーとのデュエットにビックリ仰天の#6。でも、ブライアン、 オブラートに包んだ様な声がとても素敵です。ポール・アンカとの英語ヴァージョン#7。 こちらも完璧。セリーヌとの英語ヴァージョン#8。ジョシュ・グローバンとの英語ヴァージョン#9。 英語だと何だか歌い難そうで・・・。プラシド・ドミンゴとは勿論スペイン語ヴァージョンの#10。 ドミンゴはこちらの方が数段いいですね。キャロル・キングとの英語ヴァージョン#11。 ここでもキャロル独自の世界を展開していて素晴らしいのひと言です。 ジョニー・アリディーとの英語版#12。息はピッタリなのですが、 英語版にする意味がちょっと分かりませんね。 #13のラウラ・パウジーニとは勿論イタリア語ヴァージョンです。 ヘルベルト・グレーネマイヤーとはドイツ語ヴァージョンの#14。 何か聴いていて笑ってしまいます、ドイツ語の発音とこの音楽とのギャップに。 そしてこのアルバム最後の#15は全体を通して作詞、 作曲のどちらともアズナヴールが関係していないディーン・マーチンとのデュオ。 ホッとした気分にさせてくれますね。

 如何でしたか?素敵なアルバムでした。今年85歳になるシャルル・アズナヴール。 益々元気で素敵な音楽を私達に届けてほしいものです。
 アルバムの番号は、TOCP70648・49です。ワールドミュージック、 シャンソンのコーナーに行ってみてください。

2009.2.14