尾崎亜美

Re BORN


 春を通り越して初夏を思わせる日がありますが、そこは未だ春。ちょっと不安定な天気に気持ちもちょっと不安定。 そんな時にこんなアルバムを聴いてみては如何でしょうか? 今回紹介するアルバムはデビュー30年を越えても益々元気なシンガー・ ソングライターでプロデューサーの尾崎亜美のセルフカヴァー・アルバム、<Re BORN>です。

 尾崎亜美。私の年代にはとても懐かしい名前です。丁度私が大学3年生の時ににデビューしていますから、 今年でデビュー33年。長く活躍しているアーチストの一人です。でも、若い方達には知らない人も多いでしょう。 そこで少し彼女を紹介してみましょう。

 1957年、京都で生まれた彼女は8歳からピアノを習い始め高校に入るとポピュラー音楽に興味を持ち始めます。 丁度その頃全盛のTVオーディション番組に出場した彼女は審査員から大絶賛され、 やしきたかじんのバックでピアノ演奏を手掛けるまでに成長していました。19歳の時にはシングル<冥想> で鮮烈なデビューを飾ります。同年発表したアルバム<SHADY> は松任谷正隆のプロデュースであった事からポストユーミンの一番手に挙げられるほどでした。 翌年資生堂のコマーシャルに<マイ・ピュア・レディー>が採用されヒットし、一躍全国にその名を知られる様になります。 1978年には南沙織に<春の予感>を提供。その大ヒットにより作詞・作曲家としても引っ張りだこに。杏里や高橋真梨子、 松田聖子に提供した曲が大ヒットを連発。その名を不動のものにしたのです。1983年には小説<イノセント〜箱〜>を出版。 執筆業にまで進出します。しかし、忙しすぎたのか1989年には一時休業を宣言して約 1年間の充電期間を設けます。 1990年に精力的に活動を再開。1997年にはサディスティック・ミカ・バンドにいたべーシスト、小原礼と結婚し、 得意な料理の本も好調で今に至っています。

 それでは紹介していきましょう。

 彼女のデビュー曲#1。アレンジにはもうドキッとしませんが、やっぱり曲と詞にはドキッとさせられます。 資生堂のCMが全国を駆け回った#2。恋をしそうな時の気持ちって、きっとこんなもんなのでしょうね。 当時凄い人気だった南沙織(吉永小百合のサユリスト、栗原小巻のコマキスト、そして南沙織のサオリストという位、 凄い人気でした。吉田拓郎も彼女のニックネーム、「シンシア」をそのまま歌にしています。)に提供した#3。 これが初めて他人の為に書いた曲でした。基の曲より、メロー度が上がった様な気がします。高橋真梨子に提供し、 大ヒットした#4。高橋真梨子が大人の色気ムンムンなのに対して、尾崎亜美が唄うとセンチな感情が見え隠れしています。 横山知枝に提供した#5。高校時代の淡い恋心を想い出しますね。松田聖子に提供し、これも大ヒットした#6。 ちょっとゴスペル風なアレンジもお気に入りです。聖子ちゃんとは一味もふた味も違いますね。これも松田聖子に書いた#7。 これも聖子ちゃんのカマトト風(聖子ちゃんファンに叱られそうですが)とは違い、 詩の中の風景が流れるように思い浮かぶ唄い方をしているのがいいです。志村香のデビュー曲として書いた#8。 本人も言っているように、本当に可愛い曲です。1991年、彼女がPONYに所属していた時に出したシングル#9。 オリジナルとはアレンジが違っていて、これはこれで素敵です。私自身は、こちらのアレンジの方が好きなんですが、 皆さんは如何でしょうか。杏里の大ヒット曲、#10。この曲は若い方でも知っているのではないでしょうか。 このアルバムでは弦を入れて大人のアレンジにしています。しっとりとしていてとても良い感じです。 何時聴いても素晴らしい曲だと、今更ながらに感激してしまいました。 彼女の25周年記念で豪華ゲストを迎えて作ったアルバムに入っていた#11。 記念コンサートでも最後にこの曲を唄っていました。「優しい気持ち」を思い出させてくれますね。アルバム最後は、 昨年東日本フェリーの為に書いたキャンペーン・ソングです。 コーラスのアレンジが昔のソウル・ミュージック風で懐かしい感じがしました。

 如何でしたか?春の爽やかな風をあなたの心に運んでくれたのではないでしょうか?懐かしさばかりではなく、 新鮮な感じもしましたね。素敵なアルバムでした。
 アルバムの番号は、MHCL20029でソニー・ミュージックから出ています。J-POPのコーナーに行ってみて下さい。

2009.5.16