Joe Barbieri

Maison Maravilha


 梅雨が明けました。暑い夏が始まりましたが、 エアコンの効いた部屋でゆっくりした時間を過ごしたいと思うのは決して私だけではないでしょう。 そんな時にピッタリのアルバムを今回は紹介しましょう。イタリアの新聞で 「もしカエターノ・ベローゾがイタリアで生まれていたなら・・・」と評された、 ジョー・バルビエリの新作<夢のような家で、君と>です。

 ジョー・バルビエリと言っても知らない方が殆どではないでしょうか?実はこの私も今回始めて彼の名前を聞き、 アルバムを手にとった一人なのです。そこで、少し彼について紹介したいと思います。

 1973年12月にイタリアのナポリで生まれた彼は10歳くらいからギターを手にしていたそうです。 その彼がアマチュア時代に作ったデモテープがナポリの著名なシンガー・ソング・ライター、ピノ・ダニエレ の手に渡った事が切っ掛けでプロの道に進むことになったのです。ピノ・ダニエレのプロデュースでアルバム <Gli amori della vita mi>を録音し、1993年にデ ビュー。94年にはあのサンレモ音楽祭に初出場、 97年にはピノのコンサート・ツアーに同行します。99年にセカンド・アルバムを発表、2003年には自身のレーベル <ミクロコスモ・ディスキ>を設立し記念の限定アルバムを発表します。04年に発表した4枚目のアルバム、 <In Parole Povere>がヒット、プロデュース業にも進出して徐々にその名前がヨーロッパ全土に広がりをみせ、 2007年にはドイツのウェブ・マガジン<Cd-kritik>でアルバム・オブ・ジ・イヤーを獲得するに至るのです。 今回紹介する<夢のような家で、君と>は、イタリアでは今年の1月に発売された通算5枚目のアルバムです。 聴き終わったらきっと彼のファンになる事間違いありません。

 それでは紹介していきましょう。

 最初のピアノの一音を聴いただけで彼の世界に引き込まれてしまう#1。静寂な時の流れ。ピアノの音色、 ヴォーカルの優しさ、そしてストリングスの響き。もう最高ですね。官能の世界を垣間見る#2。 哀しみの後に希望が見える#3。ポルトガルのファドを連想させる#4は、キューバの宝、 オマーラ・ポルトォンドと共演しています。悩み苦しむ姿が浮かぶ#5。 アルバムの中では初めてイタリアらしい曲の#6。フリューゲルホーンの響きが哀しげな#7。 切ない男心が伝わってくる#8。軽いボッサのリズムが切なさを軽く流しています。 昨年惜しくも90歳で天に召されたアンリ・サルバドール。彼を追悼して歌う#9。勿論フランス語です。 ハーモニカの音色が気持ちを代弁している#10。アルバム最後の#11。映画の終わりの様な感じでアルバムも終わります。

 如何でしたか? とても素晴らしいアルバムでした。映画音楽を聴いている様な気がしませんでしたか? 夏の暑い日に、エアコンの効いた部屋で一人グラスを傾けて飲むのには少し淋しすぎるかもしれませんが・・・。 ジャケットと歌詞カードに使われているのはナディア・ゾルツィンのイラストです。これもちょっと気になりますね。

 アルバムの番号は、OMCX-1223-1 で、オーマガトキ・レーベルでコロンビアミュージックエンタテイメントから出ています。 ワールドミュージック、イタリアのコーナーに行ってみて下さい。

2009.7.18