Peter Getz

BOSSAMYSOUOL


 今年の夏は、あっという間に終わりを告げるかのよう。朝晩はとても過ごし易くなりました。 そんな夏の終わりを告げるかの様なアルバムが届きました。 夏を惜しむかのような余韻漂うピーター・ゲッツの初ソロ・アルバム、<ボッサマイソウル>がそのアルバムです。

 ピーター・ゲッツと言っても知らない方が殆どではないでしょうか?そこで少し彼について書いてみようと思います。 が、残念な事に、あまり彼についての資料がないので、少しだけ。

 名前を聞いてピンときた人もいる事でしょう。そう、彼はジャズ・サックスの大物、スタン・ゲッツの息子さんだそうです。 しかし、ピーターが父親に会ったのは僅かに6度。写真を見ると結構な歳のようですから、 本当に覚えている程度かもしれません。しかし、ホームページの解説によれば、彼の父親、 スタン・ゲッツから彼は3つの物を受け継いだようであります。一つは彼のラスト・ネーム、2つ目が音楽的な才能、 そして3つ目が擦り切れたケースに入っていた父親のサックス。なるほど。
 You-Tubeで彼の映像を見ると声とのギャップに驚く方も多いでしょう。そうですね、半世紀以上昔、 クリストファー・クロスがデビューした時の印象に似ているかもしれません。正確な年齢などは分かりませんが、 体型や髪の毛の後退具合などからみると、30代後半〜40代半ばというところでしょうか。 2000年に撮られた彼のライヴ映像があるので、キャリアも結構あるようです。 ビッグ・バンドのヴォーカリストとしてミュージカル・ショウーのスタジオ・セッションにも数多く参加している模様です。 現在はスウェーデンを拠点として活躍しているナイス・ガイ,ピーター・ゲッツ。彼のソロ・アルバムを聴いていきましょう。

 軽快なボッサのリズムで始まる#1。ちょっと怪しげなメロディーが魅力的です。前奏で風景が広がる#2。 <a lovely cool breeze>、爽やかな風という言葉がピッタリの#3。彼の父、スタン・ゲッツの想い出を歌った#4。 この曲、オリジナルはスタン・ゲッツの<Lonely Lady>という曲で、 ここではスタン・ゲッツのソロ・パートをピーターがスキャットで歌い、 バンドのメンバーがサックスを吹いているだけでなく、 ピアノをスタン・ゲッツのバンドでピアノを担当していたマイケル・ラングが弾いているのも注目したいところですね。 ノリのいいラテンのリズムで人生を謳いあげる#5。体が自然に動き出します。スティングで大ヒットした#6。 スティーヴィー・ワンダーの#7は厳かな空気に包まれた、といった感じの前奏で始まります。秋の雰囲気で満ちている#8。 ウッドウィンズ(木管楽器の類)が気分を一層盛り上げています。#6,7,8は何時聴いても良い曲ですね。 リゾートのプールサイドでゆったり寛いでいる感じのする#9。 アーバン・ナイト、高級ホテルの一室でブランディー・グラスを傾けながらといった雰囲気の#10。 大人の夜といった感じです。ジュール・スタインの作ったスタンダードをボッサ調に料理した#11。 アルバム最後の#12も最上の大人の時間を演出しています。

 如何でしたか?夏を惜しむかのような余韻漂うアルバムでしたね。ケニー・ランキンがお好きな方にもお勧めです。 アルバムの番号は、SAT 052 で SATELLITE RECORDSから出ています。今の所、輸入盤のみ発売されています。 ジャズ・ヴォーカルかボッサ・ノーヴァのコーナーに行ってみて下さい。

2009.8.23