MELISSA MORGAN

until i met you


 今年の夏は短く、9月になっても残暑はあまり厳しくありません。朝晩はすっかり秋を感じますね。今回は、 これから深まるであろう秋にピッタリなアルバムを紹介しましょう。メリッサ・モーガンのメジャー・デビュー・アルバム、 <アンティル・アイ・メット・ユー〜あなたに出逢えて>です。

 メリッサ・モーガンはアメリカはニュー・ヨーク州出身。 オペラ歌手だったお祖母さんがジャズ・ヴォーカルのレコードを沢山持っていた関係で、 小さな時からビリー・ホリデイやダイナ・ワシントン、ナンシー・ウィルソンなどを聴いていたという事です。 4歳でピアノを習い、高校では聖歌隊に参加し、アメリカ、ヨーロッパを演奏旅行しています。 クラシック・ピアノや声楽中心に学んできた彼女でしたが、 友達がジャズのドラマーだった事から次第にジャズにも関心を持ち始め、 1998年にニュー・ヨーク州立大学のパーチェス・カレッジ音楽院に進むと、 このコーナーでも何度か紹介したことのあるマーク・マーフィー等に師事しジャズ・ヴォーカルの学位を取得します。 卒業後はニュー・ヨークで活動を開始。 2004年には新人の登竜門となったセロニアス・モンク・コンペティションでベスト4に選出され名前が広まります。 2007年には日本で開かれたコンコードジャズ祭での来日に合わせて日本企画のミニアルバム <メリッサ・モーガン・デビュー>を発表し、今回の<あなたに出逢えて> で世界メジャー・デビューを飾る事となったのです。

 それでは彼女のデビュー・アルバム<あなたに出逢えて>を紹介していきましょう。

 #1は出だしのピアノのフレーズでナンシー・ウィルソンの名唱を思い出した方もいる事でしょう。 ナンシーほどの衝撃はありませんが、中々ブルージーでいい感じです。 リラックスしでお酒を楽しむジャズクラブの光景が目に浮かぶ#2。カウント・ベイシーといえばこの#3。 間奏がまた素敵です。「真夜中のベッドの中、彼の寝ている脇でそっと彼の顔を見ている私」。 そんな情景が見えるような#4。素敵なバラッドですね。歌もバンドも軽くスウィングして素晴らしい#5。 エタ・ジョンーズが往年に歌ったブルース#6。現代アメリカを代表する作家トゥルーマン・カポーティ。 かれの原作をミュージカル化した<ハウス・オブ・フラワーズ>。その中で歌われる#7。 カポーティは作詞にも協力しています。シャーリー・ホーンの歌で有名な#8。ホーンセクションが活躍します。 ダイナ・ワシントンのブルージーな歌い方に影響されたのが良く分かるメリッサの歌唱がとてもいい#9。 もうこの曲はジョニー・ハートマンしかいないと思っていましたが、もう一つの決定版が出たという感じの#10。 ちょっとハスキーな彼女の声を聴いているだけでお酒が美味しくなりますね。ちょっと気だるい雰囲気で歌う#11。 ここまでがオリジナル盤。日本のみのボーナストラック#12はボブ・ドローの代表作。超スピードで歌いこなすメリッサ。 やはり只者ではありません。素晴らしいですね。

 如何でしたか?深まる秋を感じさせるアルバムでした。アルバムの番号は、#11まで収録の輸入版がCD-83684、 ボーナストラックが入った国内盤がUCCT-1210 で、TELARK(テラーク)レーベルから発売になっています。 ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。

2009.9.13