BARBRA STREISAND

Love is the answer


 秋もすっかり深まって来ましたね。そんな秋にピッタリなしっとりとしたアルバムが届きました。 アメリカのショービズ界の女王、バーブラ・ストライサンドが久し振りに発表したアルバム、 <ラヴ・イズ・ジ・アンサー>です。

 このコーナー#39で一度紹介したバーブラ・ストライサンド。その時にも言ったように、 今更彼女のアルバムを紹介するまでも無いとは思うのですが、数年振りに発売されたアルバムでは、 今までの彼女のアルバムとは趣きを変えてジャズ・スタンダードを歌うものに仕上がっています。 それもその筈、プロデュースをジャズ・ピアニストでヴォーカリストでもあるダイアナ・クラールがかって出ているのです。 このアルバムをコンセプトに、彼女は今年(2009 年)9月26日にニュー・ヨークにあるライヴハウス、 <ヴィレッジ・バンガード>で、クリントン元大統領夫妻、サラ・ジェシー・パーカー、ニコール・キッドマンらセレブ達と、 100人のラッキーな彼女のファンを前にしてコンサートを開きました。とっても贅沢なライヴになったのは言うまでもありません。
 そして、このニュー・アルバム、ビルボードのポップアルバムチャートで、彼女にとって9枚目のNo.1(2009.10.7.付け) に輝きました。これは凄い快挙なのです。以前に紹介した時にも言いましたが、彼女はトニー賞、アカデミー賞、エミー賞、 グラミー賞とアメリカの主要な賞を全て獲っている唯一のアーチストですが、アルバムのチャートでも、1960年代、70年代、 80年代、90年代、そして2000年代と全てに#1に輝いているアルバムを出した事になったのです。これも彼女ただ1人。 本当に「素晴らしい!」のひと言に尽きますね。

 ダイアナ・クラールの他にトミー・リ・ピューマもプロデューサーに迎え、 レコーディングにはアル・シュミットとスティーヴ・ジェネウィック、 アレンジと指揮にはジョニー・マンデルを迎えるという超豪華なニュー・アルバム<ラヴ・イズ・ジ・アンサー>。 それでは紹介していきましょう。

 シャーリー・ホーンの名唱が記憶に残る#1。バーブラの歌唱も負けず劣らず素敵ですね。 バーブラが大分前に出した4枚組みの<Just for the record>というアルバムに入っていた#2。 ちょっとした瞬間の幸せって感じる事がありませんか?何時もこの曲を聴くとそんな事を考えてしまいます。 アイリーン・クラールやサラ・ヴォーンも歌っているボッサ・ノーヴァの名曲#3。 バックのストリングスが哀しみを表現しているかの様ですね。シャンソンの名曲、ジャック・ブレル作の#4。 バーブラは前半と後半を英語で途中をフランス語で歌っています。そう言えば、昔の彼女のアルバムに <Je m'appelleBarbra>ってアルバムがありましたっけ。アレンジが素敵ですね。そのアレンジを担当した アラン・ブロードベントのピアノが素敵な#5。カーメン・マックレイの得意曲でした。元々ゆっくり歌われる事の多い#6。 ここでは更にテンポをゆっくりして言葉を噛み締めるように歌っています。本当にアランと マリリン・バーグマン夫妻の詞を聴いているとホッとしますね。その夫妻の作詞、ジョニー・マンデルの作曲の#7。 感情たっぷりのバーブラの歌が胸に染みますね。 <殺しの逢びき>な〜んていう邦題がついていたアメリカ映画の主題歌でアカデミー賞の主題歌賞にもノミネートされた#8。 美しいですね。女性の歌手がこぞって取り上げる#9。途中で入るダイアナ・クラールのピアノ・ソロが素敵です。 ブラジルの誇るソング・ライター、イヴァン・リンス。彼の曲にポール・ウィリアムズが英語の詞を付けた#10。 夢の世界に落ちそうです。決して嫌煙家が推奨する曲ではありません。 「恋の炎が消える時に煙が目にしみる」と歌っている#11。何とも言えない大人の歌です。 バーブラはちょっと豪華過ぎる歌い方ですね。<ウエスト・サイド・ストーリー>ほどではありませんが、 時々上演されるバーンスタインのミュージカル<オン・ザ・タウン>。その挿入歌#12。どういう訳か、 このミュージカルが映画化になった時に、この曲は省かれてしまいました。こんなに良い曲なのにねぇ。 ボーナス・トラックの#13はミシェル・ルグランの作ったとても美しい曲。 ビル・チャーラップのピアノはどこかビル・エヴァンスの様でまた美しいですね。素敵なアルバムの終わり方でした。

 如何でしたか?大人の雰囲気がいっぱいでしたね。秋にもピッタリです。アルバムの番号は、 88697−43354−2でコロンビア・レコードから出ています。今のところ輸入盤のみですが、 国内盤も近々発売になると思います。ポップミュージックのコーナー (タワーレコードでは何故かジャズヴォーカルのコーナー)に行ってみて下さい。

2009.10.17