Fleurine

San Francisc



 気候が不安定だった4月、そしてゴールデン・ウィークが過ぎて、 ちょっと疲れ気味の方も多いのではないでしょうか?そんな時、 ホッとするような音楽があればリフレッシュ間違いありません。今回紹介するアルバム、 フルリーンの<サン・フランシスコ>は、正にそんなアルバムです。

 フルリーンと言っても知らない方もきっと多いに違いありません。少し彼女を紹介してみましょう。

 オランダのアムステルダムの芸術スクールで学んだ彼女は1993年にアムステルダムから ニュー・ヨークに移り双方で仕事をするようになります。そして1996年、デビュー・アルバムの <Mean to be>を発表。このアルバム は、彼女の敬愛するセロニアス・モンク、レイ・ブライアント、 ケニー・ドーハム、カーティス・フラー、サド・ジョーンズらの曲に彼女自身が詞を付けて唄ったもので、 既にこの時点で彼女のスタイルが確立していたと言っても過言ではありません。その後、 有名なジャズ・ピアニスト、ブラッド・メルドーと結婚した彼女は彼のピアノの伴奏を得て次々に世界的なジャズ ・フェスティバルやライヴハウスに出演します。今回のアルバムは通算4枚目。決して上手い! とは言えない彼女の歌唱ですが、何故か惹かれるものがあります。
 この2月には、地震で被害を受けたハイチのために、夫君ブラッド・メルドーとコンサートを行なって、 その収益の全てを寄付するといった活動も行なっていた彼女。それでは早速聴いていきましょう。

 ブラジルの誇るソングライターで歌手のシコ・ブアルキのオリジナルにフルリーンが詞を新に付けた#1。 空気をいっぱいに吸い込みたくなる感じですね。これもシコ・ブアルキの作品#2。 ギターとパーカッションが跳ねてます。またもやシコの作品#3。 アルトのフルートが効果的に用いられています。気分がリラックスしてきます。トム・ジョビンの作品#4。 ぐっとトーンを落としたアレンジはギターのフレディー・ブライアントです。このコーナーでも紹介した シコ・ピニェイロの作品#5。彼はこの曲でヴォーカルとアレンジも担当しています。 ニュー・ボッサ的な楽曲ですね。チェロの重い音で始まる#6はボッサ・ノーヴァ の世界を語るときには外す事のできない作詞家のヴィニシウス・ジ・モライスの作品。 流石にフルリーンもオリジナルの詞のまま唄っています。軽いボッサの#7は再びシコ・ピニェイロの作品。 部屋に満ちるバラの香、そして素敵な音楽。まるでBar Penguinのようです。(笑) 皆さんも幸せな気分になりますね。再びシコ・ブアルキの作品#8。 テナー・サックスの音色が迷宮の世界に導いてくれそうな#9。夫君、 ブラッド・メルドーのピアノで唄う#10。二人が寄り添っているシーンが眼に浮かびますね。 アルバムの最後#11はバックで静かに響いているチェロが印象的なヴァージョン。 不安定なフルリーンの歌声が不思議な世界に連れて行ってくれるようです。

 如何でしたか?シコ・ブアルキの作詞した作品を中心に構成されているアルバムでしたが、 しっかりと聴くというよりも、何となく流れているアルバムと言うのがピッタリかもしれませんね。 ホッとできるアルバムだと思います。
 アルバムの番号は、SSC1182でsunnyside record(サニーサイド・レコード)より出ています。 ジャズ・ヴォーカル、またはワールドミュージック、ブラジルのコーナーに行ってみて下さい。

2010.5.9