Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim

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 今年の夏は茹だるような暑さです。そんな暑い夏、せめて気分だけは南の島での〜んびりしたいところ。 そんな気分を味あわせてくれるのが今回紹介するアルバム、フランク・シナトラがアントニオ・カルロス・ ジョビンと共演した<シナトラ・ジョビン>です。

 この両者、もう紹介するまでも無いくらいの大物ですが、簡単に紹介してみましょう。

 フランク・アルバート・シナトラ。1915年、アメリカはニュー・ジャージー州のホーボーケン生まれ。 ’35年に<ホーボーケン・フォー>のメンバーとして歌手デビューを果たした彼は'39年ハリー・ ジェームズ楽団に歌手として入りメジャー・デビューします。翌'40年年にはトミー・ ドーシー楽団に引き抜かれ人気が爆発。'42年にはトミー・ドーシー楽団が契約していたコロンビア・ レコードからソロでデビュー。'52年にはキャピトル・レコードと契約を交わし翌年、映画<地上より永遠に> で虐待されて死んでいく兵士を演じアカデミー賞助演男優賞を受賞します。'61年には自らリプリーズ・ レコードを設立しますが、'71年に突然引退を発表します。しかし、'73年にカムバック。 '98年5月14日に心臓発作を起こし多機能不全で亡くなるまで多くのヒット曲を出し活躍しました。 日本には'62年に初来日し、ソロでの公演のほか、サミー・デイヴィス・ジュニアやライザ・ミネリらとの ジョイントコンサートを開いて観客を大いに沸かせました。最後の日本公演は、福岡でのみ行なわれた'94年、 ナタリー・コールとのジョイント公演でした。
 一方のアントニオ・カルロス・ジョビンは、1927年1月25日、ブラジルはリオ・デ・ジャネイロ生まれ。 14歳でピアノと作曲を始め、 '53年にオデオン・レコードと契約を交わします。そして'59年、 ボッサ・ノーヴァ最初の曲と言われる彼の作曲した<想いあふれて>がジョアン・ジルベルトが唄い世に出ます。 (この曲はブラジルの国民的歌手、エリゼッチ・カルドーゾによって初めての録音がなされています。)以降、 ボッサ・ノーヴァのブームを作り、アメリカにも進出し、数々のアーチストと共演しヒット曲を多く作るのです。 1986年には初来日。'94年、滞在先のニュー・ヨークで心臓発作を起こし12月8日にこの世を去りました。 その後、彼の功績を称え、リオ・デ・ジャネイロの国際空港、<ガレオン空港>が<アントニオ・カルロス・ ジョビン空港>と名前を変える事となったのです。彼の偉大さが良く分かりますね。

 今回紹介するアルバムは、1967年に制作され発売になったアルバム<フランク・アルバート・シナトラ& アントニオ・カルロス・ジョビン>に '69年制作のアルバム<シナトラ&カンパニー> のA面に収録された曲を中心にリプリーズ・レコードに残された音源をまとめた物です。

 それでは紹介していきましょう。

 ボッサ・ボーヴァといったらもうこの曲と思っている人が多い#1。 シナトラの英語の後はジョビンがポルトガル語で唄っています。ちなみにアストラット・ ジルベルトの唄で大ヒットしたこの曲ですが、最初に唄ったのはぺリー・リベイロというブラジル でも当時はとても有名な男性歌手でした。爽やかな風と地平線まで広がる海を感じる#2。 ジャズ歌手が好んで取り上げています。アーヴィン・バーリンの名曲をボッサ・ノーヴァ風アレンジにした#3。 これもジャズ畑のアーチストが好んで取り上げる#4。「恋人と二人きりの静かな夜、 ギターを取り出して・・・」素敵ですね。ストリングスの響きに本当に瞑想してしまいそうな#5。 心地よい眠りに誘われる#6。切ない気持ちが伝わってくる#7。コール・ポーターの曲もボッサ・ ノーヴァのアレンジでボッサ・ノーヴァに聴こえてしまう#8。 クラシック好きな人だったらピンときたかもしれない#9。ミュージカル<キスメット>の中で唄われますが、 ボロディンの<弦楽四重曲2番>のパクリです(笑)。シナトラの声が郷愁を誘う#10。 この手の曲を唄わせたらシナトラの右に出る者はいませんね。オリジナルのアルバムには入らなかった#11。 ちょっと派手なアレンジが気になる#12。シャーリー・ホーンの名唱に勝るとも劣らないシナトラの名唱 #13。サラ・ヴォーンが良く唄っていた#14。こんな気分になってみたいと思わせる#15。 エラ・フィッツジェラルドの十八番だった#16。英語詞はこのジョビンの物とジョン・ ヘンドリックスの物と二つありますが、当然ここではジョビンの英語詞で唄っています。 ぐっとテンポを落として唄う#17。気持ちが籠もっていますね。最初は 1967年のアルバムに入れる予定がお蔵になって'69年のアルバムに入る事となった#18。 ジョビンがシナトラの為に作ったのは言うまでもありません。昨年亡くなったジャズ歌手、 アニタ・オデイの登場曲としても有名でした。とても音域が広いので難曲と言えますね。<調子っぱずれ> と言う意味の#19。勿論調子を外して唄ってはいませんからご安心を。愛しいボニータを唄う#20。 「君が僕を愛してくれたら人生はなんて素敵なものになるだろう」って、日本語じゃ中々言えませんよ。

 如何でしたか?ちょっとはリゾート気分になったでしょうか? ボッサ・ノーヴァは心の安定剤的な役目を果たしてくれる様な気がします。 皆さんもイライラした時や何か落ち着かない時にこのアルバムを聴いてみたら如何でしょうか。
 アルバムの番号は、0602527459554 でユニバーサル・ミュージック・グループ・インターナショナル より出ています。ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。

2010.8.16