Ann Burton

Laughing at Life〜Louis van Dijk Sessions



 21年前の丁度今頃、1989年11月 29日に今回紹介するアン・バートンは亡くなりました。 このコーナーでは#45、#199に続いての登場ですが、#45でも述べているように、 彼女の未発表録音は無い筈でした。しかし、彼女のデビュー・アルバムである<ブルー・バートン> のCD発売で未発表の2曲が追加収録されて私たちに嬉しい驚きを与えてくれたのです。所が更に驚いたことに、 最近ラジオの放送用に録音された43曲という膨大な未発表曲が有ると分かり、 それを保有していたオランダ・サウンド・アンド・ヴィジョン協会の協力を経て、 未発表録音を発売するプロジェクトが発足、発売へと至ったのです。日本で先行発売されるこのアルバム。 ライナー・ノーツによると評論家の高田敬三氏の協力が無かったら実現しなかったかもしれないと書かれているので、 まず日本で発売される事になったと思われます。さて、その出来栄えですが、 これがまた<素晴らしい!>のひと言。オリジナルアルバムと言っても決して遜色ない出来栄えになっています。 彼女の経歴についてはこのコーナー#45を参考にしていただくとして、早速アルバムを紹介していきましょう。

 唄、伴奏共にスウィングしてグーな初レコード化の#1。ノッケからノッテます。 がらっと変ってしっとりと唄う#2。オリジナルのヘレン・レディーとは全く違う、 アン・バートン独特の語り口ですね。この季節になると必ずどこかのTV局が放送する映画 <ホワイトクリスマス>。その映画の中でローズマリー・クルーニーが唄っていた#3。 唄の中に物語を感じますね。サラ・ヴォーンが得意としていた#4。テンポを変えてジャズってます。 この#5から#12はオランダのアムステルダムにある有名なコンサート・ホール、 <コンセルトへボウ>でのライヴ録音です。#5はライナー・ノーツにもある通り、 朝の録音だったらしく歌詞を<今宵>から<今朝>に変えてます。 こんな所にも気を使う彼女の性格が表れていますね。彼女の特徴でもある言葉を噛み締めながら唄う#6。 ルイス・ヴァン・ダイクのピアノも良いですね。このコーナーでも紹介したことのある歌手、 オードリー・モリスが初めて唄った#7。テンポをグッと落として物語を唄っています。 後半のスウィング感が素敵な#8。思わず指を鳴らしてしまいそうです。ちょっと難しいリズムの#9。 曲の説明をしてから唄に入る#10。 語りでも言っていた様にルイス・ヴァン・ダイクのピアノ伴奏のみでしっとりと唄います。 このアルバムのタイトルにもなっている#11。本人も気持ち良さそうです。最後もオシャレですね。 少し早いテンポでピアノと共にスウィングする#12。いいですね。 アルバム最後の#13はアンのお気に入りで、かつてカーペンターズで大ヒットした曲。 カーペンターズのカレンの歌声も忘れられませんが、アンの歌声も永遠に私たちの心に残ることでしょう。 素晴らしい表現力です。

 如何でしたか?とても未発表曲の寄せ集めだとは思えないアルバムでした。 ルイス・ヴァン・ダイクを中心にしたピアノ・トリオの演奏も素晴らしいものでした。 残り30曲ほどある未発表の録音。ジャケットにVol.1とあるので追って新しいアルバムが発売になる事でしょう。 とても楽しみです。アルバムの番号は、MZCF-1230でfab.レーベル、MUZAK.INC から出ています。 ジャズ・ヴォーカルのコー ナーに行ってみて下さい。

2010.11.28