Gail Pettis

Here in the Moment



 春はまだまだ遠い感じですが、一歩一歩近付いて来るのも分かる今日この頃。 陽射しに春を感じる日も多くなってきました。 そんな昼下がりにこんなアルバムを聴いてみては如何でしょうか? 最近のジャズ・ヴォーカルの世界では抜きん出ているゲイル・ペッツの <ヒア・イン・ザ・モーメント>がそのアルバムです。

 ゲイル・ペッツ。彼女を知らない方が殆どでしょう。少し彼女を紹介してみましょう。

 アメリカはケンタッキーで生まれた彼女は、幼い頃から教会で妹と歌っていましたが、 1980年代、大学では歯科矯正を学びます。しかし、 彼女の周りでは常に音楽が溢れていました。祖父はブルース歌手でギタリスト。 1920年代、30年代にはレコーディングもしています。祖母はピアニスト。 両親は音楽の仕事には従事していませんでしたが、やはり、 この祖父母の血が今の彼女を形成したと言っても過言ではないでしょう。 高校時代にはフレンチホルンも演奏していたといいます。 シアトルに移住してからは多くの音楽仲間と知り合いますが、 ジャズ・ヴォーカリストとしての仕事をするのは2002年までありませんでした。 段々ジャズ・ヴォーカルへの炎が燃え上がっていき、 ついに2006年前後からライヴ活動を始めます。 2006年の5月には来日もして神戸で数回ライヴも行なっています。2007年、 待望のデビュー・アルバム<May I come in?>を発表。その年、 ノース・ウェスト・ ヴォーカリスト・オブ・ジ・イヤーを受賞します。 そしてボビー・コールドウェルとの共演を果たした2010年に、 今回紹介するセカンド・アルバム<Here in the Moment>を発表したのです。 今最も注目を浴 びているジャズ・ヴォーカリスト、ゲイル・ペッツ。

 それでは紹介していきましょう。

 軽快にスウィングする#1。これを聴いただけで彼女の実力の程が分かりますね。 テクテク歩いている様な#2。面白いテンポです。変拍子で心地よい#3。 ピアノとのデュエット#4。しっとりとしたこのチューン。ホッとしませんか? ベース、ドラムス、ピアノと順に重なっていくアレンジがとても良い#5。 歌もいいですね。快調に飛ばす#6。スキャットも素敵です。 ラテンチックなアレンジが不思議な気持ち良さをくれる#7。 色々なテンポで色を変えている#8。いいですね〜。 ブルース仕様の#9。 指が鳴りますね。ヴァースからしっとり歌う#10。ふ〜っとため息が漏れそうです。 タイトル通り指鳴らしで始まる#11。 アルバム最後の曲はベースと歌と指で締め括ります。

 如何でしたか?とても実力のある歌手でした。これからが益々楽しみですね。 アルバムの番号は、OA2 22059 でOA2レコードから出ています。 ジャズヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。

2011.3.14