Ben Vereen

Steppin' Out Live



 震災からひと月以上経ちました。季節は何も無かった様に移っていきます。季節は春。 爽やかなこの時期に春風を運んでくれるアルバムを紹介しましょう。 ブロードウェイでは大スターのベン・ヴェリーン。彼がアメリカはコネチカット州、 ハートフォードはロバート劇場で行なったライヴの模様を伝えるアルバム、 <ステッピン・アウト・ライヴ>です。

 ブロードウェイ・ミュージカルがお好きな方にはもうお馴染みの彼。しかし、 そうでない方には全く知らないアーチストだと思います。そこで、少し彼について紹介してみましょう。
 ベン・ヴェリーン。1946年、アメリカのフロリダ州生まれの彼のキャリアは1968年のミュージカル映画 <スウィート・チャリティー>から始まります。 シャーリー・マックレーン主演のこの映画は大ヒットしますが、ここでのベンはほんの端役。しかし、 1971年10月12日にブロードウェイで開幕したアンドリュー・ロイド・ウェバー作のミュージカル、 <ジーザス・クライスト・スーパー・スター>でユダ役を射止めた事で彼の役者人生は一変します。 黒人をユダ役に抜擢した事で大きな話題になるのですが、そのステージを観た観客は、 その迫力に度肝を抜かれるのです。存在感をアピールした彼は、 1973 年のブロードウェイ・ミュージカルでその年度のトニー賞を獲得した<ピピン>に進行役で出演。 早くもトニー賞主演男優賞を獲得してしまいます。その後も 1975年にバーブラ・ストライザンド主演の映画<ファニー・レディー>、 77年に大ヒットしたTVシリーズ<ルーツ>でのチキン・ジョージ役、 79年のボブ・フォッシー監督の映画<オール・ザッツ・ジャズ>等に出演。 1999年にはそのボブ・フォッシーのダンスを再現した、 これもトニー賞を受賞したミュージカル<フォッシー>に出演、圧倒的なダンスで観客を感動させたのです。

 それでは早速彼が2010年に行なったライヴ会場へとご案内しましょう。

 ボッサ・ノーヴァのリズムで軽やかに登場し、そのシルキー・ヴォイスを披露する#1。 モダンな伴奏で送る#2。ミュージカル<王様と私>からのナンバーです。 シュテファン・シュワルツの曲で始まる#3はメドレーで送るミュージカル曲集。 <ヘアー><ジーザス・クライスト・スーパー・スター>から4曲歌われれます。 早くもノリノリのステージが展開されています。#4は昨年来日したミュージカル<アヴェニューQ> にトニー賞をさらわれた形になってしまったミュージカル<ウィーケット>からのナンバー。 #5は誰もが敬愛するフランク・シナトラのメドレー。リズミックに、エレガントに、 彼のショーマンとしての実力の程が分かります。レスリー・ヴリッカスのご機嫌な曲#6。 ここからショーの終わりまではサミー・デイヴィス・ジュニアに捧げられています。 彼の踊っている姿が想像できる#7。ジャジーに迫る#8。 日本では2月14日のヴァレンタイン・デイに歌われる事が多い#9。元々はミュージカルの挿入歌で、 内容は全くヴァレンタイン・デイとは関係ないんですけど、日本では・・・。 彼はウッド・ベースをバックにジャズってます。お洒落な#10。 こちらはミュージカル<パール・ジョイ>から。色々な歌手がカヴァーしていますね。 そしてショーも最後の曲になりました。アルバムの最後#11は、 サミー・デイヴィス・ジュニアの十八番。踊り、歌い、演技するベンの姿が想像できますか?踊りの名手、 ベン・ヴェリーンならではの最後の曲ですね。

 如何でしたか?ライヴの会場にいるような雰囲気を味わえたでしょうか。 まだまだ現役で活躍するベン・ヴェリーン。これからの活躍が楽しみです。  アルバムの番号は、8-3329 で Sh-K-Boomレコードから発売になっています。 CDショップではミュージカルのコーナーに行ってみて下さい。しかし、 中々置いてある所が無いと思います。アマゾンなどから購入された方が無難だと思います。

2011.4.24