ELAINE PAIGE

ELAINE PAIGE AND FRIENDS



 梅雨の季節。毎年訪れるとはいえ嫌なものです。こんな季節は、 ゆっくり部屋で音楽でも聴いていたいもの。お酒を飲みながら、気持ちを落ち着けて聴く音楽。 いいものです。そんな時にピッタリの音楽を紹介しましょう。イギリス、ロンドン、 ウェスト・エンドのミュージカル界では知らない人がいない大スター、エレン・ページのニュー・アルバム、 <エレン・ページ・アンド・フレンズ>がそのアルバムです。

 あれだけ有名なミュージカル界のスターでも、日本ではあまりにも知られていません。そこで、 彼女を少し紹介してみたいと思います。

 1948年、ロンドン北部生まれの彼女は早くから演劇の才能を両親からも認められ演劇学校に進みます。 1964年には早くも舞台デビューを飾り、68年には<ヘヤー>、 <ジーザス・クライスト・スーパー・スター>に出演しますが、 その地味な性格上か中々大役にありつけませんでした。しかし、78年6月21日に開幕したミュージカル <エヴィータ>で、主役のエヴァ・ペロン役を射止め大ヒット。 同年、ロンドン・ミュージカルのトニー賞とも言うべきローレンス・ オリビエ賞を受賞して一気に大スターの座にかけ登ります。その後、 ミュージカル<キャッツ>の主演女優の予定だったあのジュディー・デンチが稽古中に怪我をして降板。 その代役として<キャッツ>のグリザベラ役で再び大ブレイクします。 その中の<メモリー>も大ヒットを記録し、名実ともに大スターとなるのです。その後も86年に<チェス>、 89年に<エニシング・ゴーズ>に出演。<チェス>の中で歌われた<アイ・ノウ・ヒム・ソー・ウェル> はその年の年間2位を記録する大ヒットとなり、後に、 ホィットニー・ヒューストンとシシー・ヒューストン親子にもカバーされ、こちらも大ヒットを記録します。 93年に上演されたミュージカル<ピアフ>では評論家から大絶賛を受け、 続く94年にはミュージカル版<サンセット大通り>に主演。ブロードウェイにも進出します。 その後舞台からは少し離れますが、2000年に<王様と私>のアンナ役で復帰し、 2007年には<ドロウジー・シャペロン>のウエストエンド公演にも出演しています。

 ロンドンでは知らない人が居ないほどの大スター、エレン・ページ。 彼女が素敵なデュエット・アルバムを届けてくれたのが昨年の事。それでは早速紹介していきましょう。

 ケニーGのソプラノ・サックスが効果的に挿入される#1。ジョン・セカダとのデュオです。 ブロードウェイ・ミュージカルの新しいスター、イディーナ・メンツェル。彼女と夢の共演が実現した#2。 ほのぼのとしています。敬虔な空気が流れる#3。このアルバムのプロデューサー、 フィル・ラモーンと共にこの曲の共同プロデュースを行なったバリー・マニローとのデュエットです。 爽やかな全奏で始まる#4。ビリー・ジョエルの大ヒット曲をデュエットするのは、アメリカ音楽界の重鎮、 ポール・アンカ。まだまだ若々しい声ですが、貫禄を感じますね。アメリカのグラミー賞の常連、 リーアン・ライムスとの#5。ゆっくりとした時が流れます。 ロバータ・フラックとダニー・ハザウェイのデュエットが余りにも有名な#6。 ジョン・バローマンとのデュエットはそよ風に吹かれているかの様に軽やかです。 このアルバム唯一のオリジナル#7。シニード・オコナーと哀しい物語を綴ります。感動物です。 スタイリ・スティックスやダイアナ・ロスとマーヴィン・ゲイの歌でお馴染みの#8。 ここではビリー・オーシャンとのデュエットです。先程のポール・アンカもそうですが、 #9でデュエットしているジョニー・マチスの声の若さには本当に驚かされます。 甘いひと時が味わえる一曲となりました。 フランス国内でもあまり名前を聞かなくなったサンソン・フランソワ。 彼女の大ヒット曲#10をエレン・ページと歌うのは何とオリビア・ニュートン・ジョン。 軽く歌ってエレンをサポートしています。このアルバムは本当にすごいアルバムです。 ポール・アンカにジョニー・マチス。そして#11ではニール・セダカまで登場させてしまうのですから。 ホッとする曲に仕上がりましたね。マイケル・ボルトンとのデュエット#12。アルバム最後の#13は、 前回のこのコーナーでも紹介したディオンヌ・ワーウィックとのデュオ。 声質の全く違う二人の歌がとても合っているのが不思議に感じるほどピッタリとしています。

 如何でしたか?とても素敵なアルバムでした。梅雨の時期、部屋でゆっくり聴きたいですね。 アルバムの番号は、5249828742 で RHINOレーベルから出ています。 CDショップではあまり扱っていないと思うので、amazon  などの通販でお買い求めすることをお勧めします。

2011.6.20