The SSJ All-Stars

From California With Love



 2011年3月11日に起こった東日本大震災は第二次世界大戦後に日本で起こった 最大の災害として世界中で大きなニュースとして報道されました。 世界中の人々からの援護や義捐金には感謝の気持ちでいっぱいになりますね。 また音楽業界でも支援の輪が広がっているのは皆さんもご存知の事と思います。 今回紹介するアルバム、<カルフォルニアより愛をこめて>もジャズのレーベルSSJからアルバムを出しているアーチストがプロデューサー、 ビル・リードの呼びかけに賛同して作ったチャリティー・アルバムなのです。
 この様なアルバムは、制作日数が少ない事などから、その出来栄えが気になるところですが、何と、 このアルバムに関しては心配ご無用。全てのトラックがベストと言っても過言ではありません。

 それでは、早速紹介していきましょう。

 1950年代から活躍し続けているスー・レイニー。日本でもファンが多い彼女が歌う#1。 ミュージカル<ベッツィ>と<晴れた日に永遠が見える>からのメドレーですが、 落ち着いて聴いていられます。#1でピアノを弾いていたアラン・ブロードベント。 歌伴だけでなくピアノ演奏も素敵ですね。今年84歳のジョニー・ホリデイ。 彼が78歳の時に録音した#3。今も健在な彼の今よりほんのちょっと若い時の声は正に若者そのもの。 素晴らしいのひと言です。3年前のデビューから高い評価を得ているレスリー・ルイス。彼女の歌う#4。 洗練された歌唱が新人とは思えないほどです。シャーリー・ホーンの歌で発表されてから、 早くもスタンダード曲になりつつある#5。 今年初冬に初来日が予定されているカート・ライケンバックが噛み締めながら歌います。 元々はフランク・シナトラの為に書かれた曲。男性歌手が歌ってはまらない筈がありません。 素晴らしいですね。余談ですが、このアルバムのジャケット・デザインも彼がしたものなんですよ。 このアルバムの発案者でもあるダイアン・ハブカ。 彼女が英語で歌うのは映画<黒いオルフェ>のテーマ#6です。 ウクレレが奏でるリズムにちょっと体が動きますね。震災後、 日本のTVでも多く流れたメロディーが#7でした。ここではピアニスト、 クリスチャン・ジェイコブが一音一音丁寧に弾いています。 彼のトリオで16年もの間コンビを組んでいるヴォーカルのティアニー・サットン。 彼女が彼の伴奏で歌う#8。グラミー賞に3度もノミネートされているだけあって流石の歌唱です。 霧の中をさ迷っている様な不思議な感覚を覚えてしまいます。ジェイコブのピアノも素晴らしい。 何故か分かりませんが、涙が出てきそうなトラックです。#9を聴いて、 「あれ?」っと思われた方も多いことでしょう。そう、ジム・コックスの弾くビートルズナンバーです。 ジム・コックスは、このコーナーで先日紹介したピンキー・ウィンターズのアルバム<Winters in Summer> でピアノとアレンジを担当していた人。流石の アレンジで聞かせますね。 ラジオのコマーシャル歌手としてアメリカではその声を知らない人がいないディック・ノエル。 彼が2006年に吹き込んでいた未発表の曲#10。ジョニー・ マーサーの代表曲ですが、 アメリカの良き時代を想い出させる素敵な歌声です。プロデューサー、 ビル・リードの判断でSSJレーベルとは無関係である1曲がこのアルバムに入れられました。 日本に15回も来日している親日家で白人ジャズヴォーカルの草分け的存在だったクリス・コナーの#11です。 2009年に亡くなった彼女は晩年になっても傑作アルバムを次々に出しました。この録音は、 1987年にバッファローのカフェで行なわれたライヴからのもの。弾けそうなクリスの歌唱に元気をもらえます。 フランク・シナトラ風の歌い方で人気のフランキー・ランドール。 彼のオリジナル#12は弾き語りの名手でもある彼の勿論弾き語りです。 目を瞑って聴いているとシナトラと間違うほどです。アルバムの最後#13は、 先日の来日公演でも素晴らしいステージをみせてくれたピンキー・ウィンターズの最新録音。 80歳を超えているとは思えないしっかりとした歌唱です。 ミュージカル<回転木馬>の最後の方で歌われるこの歌は感動そのもの。 アルバムの最後を飾るのに相応しいナンバーでした。

 如何でしたか?とても素敵なアルバムでした。アルバムの番号は、 XQAM-1803でSSJレーベルから発売になっています。チャリティー・アルバムですので、 是非お買い求め下さいね。ジャズのオムニバス、 またはジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみてください。 なおこのアルバムは限定販売ですのでお早めにお求めになることをお勧め致します。

2011.8.21