Jacqui Dankworth

It Happens Quietly



 今年は本当に寒い日が続きますね。そんな時こそバーでゆったりお酒を飲みたいものです。 今回紹介するアルバムは、そんな場面にピッタリ。ジャッキー・ダンクワースの新譜、 <イット・ハップン・クワイエットリー>です。

 ジャッキー・ダンクワースといってもほとんどの方が知らないと思います。そこで、 少し彼女について書いてみたいと思います。

 1963年2月5日、イギリスのノースハンプトン生まれの彼女は、 両親にイギリスの誇る世界的なジャズシンガーで女優のデイム・クレオ・レインと惜しくも一昨年亡くなった サックス奏者でアレンジャーのサー・ジョン・ダンクワースを持ち、幼い頃から音楽に親しんでいました。 ただ、初めはロイヤル・シャークスピア・カンパニーやロイヤル・ナショナル・シアター に所属した女優としてスタートを切りました。少し経ってから兄のアレックと共に音楽活動を始め、 ハワイや香港などを巡業。2002年、彼女の初アルバム、<As The Sun Shines Down On Me>を発表。 ロニー・スコット・クラブなど、有名なライブハウスなどで活動を続けています。今回のアルバムは、彼女の父、 ジョン・ダンクワースが編曲を担当し、最期の親子共演となっています。

 それでは紹介していきましょう。

 不思議な雰囲気の中で響きわたるジャッキーの声が印象的な#1。靄の中を歩いているような感じがします。 ホッとします。リズムカルに進む#2。体が動きます。バンドも乗ってますね。再び不思議な世界へと誘う#3。 アルバムのタイトル曲です。母親、クレオ・レインの影響が出ています。小春日和の昼下がりが目に浮かぶ#4。 ゆったりした気分になりますね。テンポを大分落として歌う#5。夢を見ている気持ちです。 バックのストリングスが眠りに誘う#6。 スキップでもしたくなるようなバックの音楽とは裏腹に冷めた表情を見せる#7。 落ち着いた歌唱の中に知的さを感じる#8、そして#9。ジャズクラブで聴いているかの様な#10。 お酒が美味しく感じますね。父親と一緒に作った曲#11。勿論サックスのソロはジョン・ダンクワースです。 アルバム最後の曲、#11は、父親が居た時の家族と過ごした日々を想い出すかの様な美しく、 感情篭った歌唱を聴かせます。

 如何でしたか?とても落ち着いた歌唱で、大人の雰囲気いっぱいのバーにピッタリですね。 演劇がスタートの彼女。歌詞の解釈も母親譲りで奥深く感じました。生で聴いてみたいものです。
 アルバムの番号は、SPEC014でProperレコードから出ています。ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみるか、 通信販売でお求め下さい。
 最後に、当然の如く、このアルバムは、彼女の最愛の父、サー・ジョン・ダンクワースに捧げられています。

2012.2.27