JANN

Jann『ファースト』



ヤンと聞いてもほとんどの人は?と思うでしょうが、 彼女は舞台 女優、歌手、ヴァイオリニストとしてヨーロッパ中の劇場で大成功をおさ めているオランダ出身のジャズの新星なのです。今最も注目を集めている 彼女のファースト・アルバムを紹介していきましょう。

物淋しげなピアノのイントロで始まる#1はこのアルバムのプロローグ として選ばれたシェリル・クロウの曲。大変短いのですが、この人の方向 性が伺われます。それに続く#2はお馴染みデューク・エリントンの代表 曲。ギターとベースの伴奏にのって早くも実力の程を見せてくれます。バ ンドネオンの切ない前奏でも判る様にアストル・ピアソラが作った#3。 とても新人とは思えないこの曲へのアプローチです。このトラックでは彼 女自身がヴァイオリンを弾いています。パーカッションとベースの何やら 怪しげなイントロではじまる#4は、これも今注目されている女性ジャズ 歌手、ヴァネッサ・ルービンの詩にフランク・フォスターが曲を付けたも の。勿論、ヴァネッサ自身も唄っています。ここでは軽くスキャットなん かを交えながらすっきりと唄っていますね。
ロジャース&ハートの曲で、リー・ワイリーやビリー・ホリデイでもお 馴染みの#5。これもロジャース&ハートの#6。ソプラノサックスがと ても爽やかですね。バンドネオンのアレンジがとても素敵な#7。 街の雑踏の中から静かに響いてくるベースに導かれて唄い出す#8は知 的な弾き語りでその個性を発揮するメレディス・ダンブロッシオの作品。 ベースとのデュオです。映画「バグダット・カフェ」ですっかり有名にな った#9。以前このコーナーで紹介したアイリーン・クラールの得意曲、 #10。ピアノとのデュオです。
#1に続いてのシェリル・クロウのチームによる#11。すっかり自分 の物として消化しています。ドリ・カイミの曲にアラン&マリリン・バー グマン夫妻が英語の詩を付けた#12。もういろいろな人がカヴァーして いるのでお分りですね。ギターとのデュオで爽やかにこのアルバムを締め くくります。
如何がでしたか?彼女の将来性が実に良く分ったと思います。今までの ジャズ・ヴォーカルにはなかった彼女独特の世界を作り上げています。そ してこのアルバムのセンスの良さ。みなさんもこのニュー・ヴォイスに耳 を傾けてみては如何でしょうか。

CDの番号は BIS 032 オランダのBRIGADOONから出ています 。ジャズ・ヴォーカルのコナーに行って下さい。尚、直輸入盤の日本発売 として東京エムプラスというところから出ています。