Omara Portuondo & Chucho Valdes

OMARA & CHUCHO



 ようやく春がやって来た今日このごろ。桜前線も北に移動中です。この春、素敵なアルバムをお届けしましょう。 キューバが誇るディーヴァ、オマーラ・ポルトゥオンドとイラケレのピアニスト、 チューチョ・ヴァルデスのデュオ・アルバム、<オマーラ&チューチョ>です。
 オマーラ・ポルトゥオンドは、このコーナー#32、#192で登場しています。 その経歴については#192を参考にしていただくとして、ここでは、 チューチョ・ヴァルデスについて少し紹介してみましょう。
 1941年生まれと言いますからオマーラより11歳若いチューチョは、キューバのハヴァナ郊外で生まれ、 父親がキューバン・ジャズの父と慕われるピアニストであった事もあって、幼い頃より音楽にしたしんでいました。 1967年にオルケスタ・クヴァーナ・デ・ムシカ・モデルナに加入。1973年には彼が中心となって<イラケレ>を結成。 キューバ音楽、ジャズ、ファンクを取り混ぜた音楽は当時大きな話題となったものです。 イラケレを続けながらコンボでの活動も続けて今日に至っています。
 オマーラ82歳、チューチョ71歳。この二人がこの春、 東京青山にあるブルー・ノート東京でライヴを開きます。 一足先にこのアルバムを聴いてライヴに行ってみては如何でしょうか?

 それでは早速紹介していきましょう。

 アカペラで唄う#1。オマーラお気に入りの曲で一気に彼女の世界に誘います。 ベートーヴェンの<月光>で始まる#2。オマーラとチューチョの共にドラマチックに歌い上げる素敵なナンバーです。 フロアーに出て踊りだしたくなる#3。ラフマニノフで始まる#4。ひと言ずつ噛み締めるように唄うオマーラ。 ドラマチックなピアノとの最高のコラボレーションです。ジャズっぽい#5。 ゲストで迎えたウィントン・マルサリスのトランペットが美しい#6。昔、 グラシェーラ・スサーナが日本語で歌っていましたね。しかし、このナンバーは何と素晴らしい事でしょう。 オマーラの歌、チューチョのピアノ、ウィントンのトランペット、あなたにも景色が見えますね、きっと。 と思っていたら次の#7。感動という言葉の他に何も見つかりません。キューバの伝統音楽ソン。 #8はオマーラが楽しげにソンを唄います。再び静寂の世界に浸れる#9。涙が出てきそうですね。 歌が語りの様に伝えられる#10。ちょっとアフリカンな#11。ここでガーシュインが登場するとは思いませんでした。 ガーシュインの<ラプソディー・イン・ブルー>に続いて歌われる#12はボレロの有名曲ですね。 前半をスローで、後半を少しテンポを上げて盛り上げます。アルバム最後の#13は、 #1でオマーラがアカペラで唄っていた曲と同じ曲。ここではチューチョのピアノ・ソロで締めくくります。

 如何でしたか?本当に美しくて素敵なアルバムでした。アルバムの番号は、WVF479062(輸入盤)、 RICE HMR-5221(国内盤)でライス・レコードから発売されています。 キューバ音楽のコーナーか通信販売でお求め下さい。
 なお、彼らのブルー・ノート東京公演は、4月30日、5月1日、3日、4日の計4日行われます。 お時間のある方は足をお運び下さいね。

2012.4.23