HOLLY COLE

NIGHT



 何時か紹介しようとして中々紹介出来ないでいるアーチストがいます。 今回漸く紹介する事ができます。そのアーチストの名はホリー・コール。彼女の新譜、 <夜>はとても素敵なアルバムです。

 ホリー・コールを知らない方のためにちょっと彼女を紹介してみましょう。

 カナダのファリファックスで生まれた彼女は、小さい時から音楽に親しんでいましたが、 兄がボストンのバークリー音楽院に入学していた事から16歳の時にボストンへと移住します。 そこでジャズと出会って一気に恋に落ちてしまい、 バークリー音楽院で学びながら順調に音楽活動を続け、 とうとうデビューという時に自動車事故で顎の骨を砕いてしまいます。 1987年の事でした。音楽活動を断念しないといけない状況でしたが、 彼女は音楽への夢を諦めずに活動を続け、 1989年11月に待ちに待ったデビュー・アルバムを発表するのです。 カナダで発売されたそのデビュー・アルバム<クリスマス・ブルー>はそこそこ評判になりますが、 これはカナダだけの出来事でした。翌年、<ガール・トーク> とタイトルを変更してアメリカで発売。これが評判になり91年には<Blame It On My Youth> (邦題〜コーリング・ユー)を発売します。邦題にも付けられた<コーリング・ユー> は映画<バグダット・カフェ>の中でジェヴェッタ・スティールが歌っていたものですが、 ホリー・コールの日本デビュー盤として92年に発売になると、 ものすごい話題を呼びオリジナルを超えて、彼女の歌の様に扱われた程でした。 ジャケット写真が余貴美子を思わせるこの新作<夜> は日本デビュー20周年として日本先行で発売され北米では9月25日にリリースされる予定です。 来日公演も多い彼女。この新作を中心としたライヴも早く聴きたいものですね。

 それでは紹介していきましょう。

 ナンシー・シナトラが歌った映画<007は二度死ぬ>のテーマ#1。 日本がロケに使われたこの映画の主題歌。山道をゆっくり馬に揺られて見物している感じがしませんか? #2はティム・ロビンス監督の映画、<デッドマン・ウォーキング>で使われた曲。 作曲のトム・ウェイツの味が良く出ていてホリー・コールにピッタリですね。カントリー色の強い#3。 ホリーのオリジナル#4。ちょっと怪しい雰囲気です。エルヴィス・プレスリーで有名な#5。 バックのアレンジが素晴らしい。映画音楽として何度も使われた事のある#6。 ゆっくりとした曲調が夢の世界へ誘います。列車で長距離の旅をしているかの様な#7。 夜の街の風景が浮かんでくる#8。いいですね。トム・ウェイツの傑作アルバム<ブルー・ヴァレンタイン> の中に入っていた#9。詩としても最高なこの曲をホリーは曲の持ってるイメージ通りに唄います。 シャンソンの中でも英語圏で歌われることも多い#10。ホリーはカナダ人だけあって? 英語とフランス語の両方で歌っています。オリジナルのアルバムとしては最後の曲、#11。 カナダのシンガー・ソングライター、ゴードン・ライトフットの作品です。これからは日本盤ボーナストラックです。 まず#12はフランク・シナトラがよく歌っていました。優しい罠に囚われない様に注意したいものです。 (笑)#13は彼女の代名詞的な曲となった<コーリング・ユー>。 彼女の前作で日本未発売のDVD+CDからのライヴ版です。アルバム最後の#14も同じライヴから。 ステージでは何時も最後の曲として歌ってましたっけ。

 如何でしたか?<夜>を感じるアルバムでしたね。この夏からこのアルバム<Night>を引っさげてツアーに出る彼女。 先程も言いましたが、日本でまた彼女の生の歌声に接したいものですね。アルバムの番号は、 TOCP-71318でEMIミュージックジャパンから出ています。ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行くか、 通信販売でお求め下さいね。


2012.8.13