PETULA CLARK

Petula



 秋も深まり朝晩は大分寒くなりました。今回紹介するアルバムは、こんな季節にピッタリ。 ペトゥラ・クラークの新作<ペトゥラ>です。

 ペトゥラ・クラーク。50代以上の方には<恋のダウンタウン>という曲でお馴染みですが、 知らない方の為に少し彼女を紹介しましょう。
 1932年11月、イギリスロンドン近郊で生まれた彼女は、早くも7歳で舞台デビューを果たします。 1950年代にはヒット曲を連発、ポップ歌手としての地位を確立します。60年代には結婚を機にフランスに移住、 フランスでもヒット曲を連発します。そして1964年、先にも言った<恋のダウンタウン>がアメリカで火がつき、 1965年にとうとう1位を獲得、同年のグラミー賞を獲得しました。 これはイギリス初のグラミー賞受賞歌手となったのです。翌年にも再びグラミーを手にし、 2年連続受賞という快挙を成し遂げます。またこの時期<チップス先生さようなら>、 <フィニアンの虹>という2本の映画にも主演しています。70年代から80年代にはヒット曲には恵まれなかったものの、 舞台をミュージカルの世界に移し、<サウンド・オブ・ミュージック>、<キャンディード>、 <サムワン・ライク・ユー>に主演、90年代にはロンドンで大ヒットし最近幕を降ろした<ブラッド・ブラザーズ> のブロードウェイ公演に哀しい運命を背負う兄弟の母親役で出演、 またアンドリュー・ロイド・ウェバーの<サンセット大通り> のウエストエンド公演とブロードウェイ公演両方に主演しています。昨年(2011年)、 パリのカジノ・ド・パリで久しぶりに公演し、今年1月から2月に掛けてニュー・ヨークのクラブ、 ファインステインズで2週間に渡る公演、3月にはオーストラリアでの公演も成功させています。 そして昨年録音されたこのアルバムが5月に発売されたのです。

 それでは紹介していきましょう。

 60年代フレンチポップを思わせる#1。夢の中で会話しているような#2。 クラシック・ギターの名手ジョン・ウィリアムズ作曲による#3。ゆらゆらしている感じがします。 シャルル・アズナヴールが作詞し、ペトゥラが作曲した#4。 しっとりとしたこの曲は日本で70年代にブームになったフランソワーズ・アルディー の曲の様で不思議な景色が浮かんできます。 日本ではサン・トワ・マミーなどで大変有名なサルバドーレ・アダモ。 彼が15〜6年前に自らのアルバムで発表した曲#5。胸に染み入ってきますね。変わって#6はアップな曲。 自然と体が動いてしまいます。続く#7もアップテンポでバックのブラスが70年代のソウル・ ミュージックを思い出させます。クリント・イーストウッド監督の映画音楽を数々手掛けているマイケル・スティーヴンス。 彼の作曲した#8。静寂な空間に居るような気分にしてくれます。アズナヴールが45年前に歌った#9。 ここではペトゥラとデュエットです。80代二人のデュエット。まだまだ元気ですね。負けられません。 ちょっとコミカルな#10。ミシェル・ルグランとアラン・ブーブリルのコンビは多くの名曲を書いていますが、 この#11もその一つに入る美しいナンバーです。ペトゥラとデュエットしている ベン・ロンクル・ソウルがとても素敵な#12。アルバム最後の#13はまるで今のペトゥラを歌っているよう。 最後を飾るのにとても相応しい美しい曲ですね。

 如何でしたか?晩秋にピッタリでしょ。世代を超えて作られたこのアルバム。本当に素敵でした。アルバムの番号は、 SICP3502でソニー・ミュージック・エンタテイメントから出ています。ヴォーカルのコーナーか通信販売でお求めください。

2012.11.17