SHIRLEY HORN

Here's to Life



都会の喧騒を忘れてほっとする一時を演出する、そんなアルバムを紹介 しましょう。シャーリー・ホーンがストリングスをバックにあなたを癒し てくれる<ヒアズ・ツゥ・ライフ>です。
このアルバムは1991年の後半に録音されたのですが、それまでシャー リー・ホーンはどちらかと言えば地味なアーチストの一人でした。 ところが、このアルバムを製作したヴァーヴと契約をしてからというも の、それまでには考えられなかった豪華なサポート陣に恵まれて、彼女の 歌の世界が大きく広がったのです。特に今回のこのアルバムでは、編曲を ジョニー・マンデル(映画「いそしぎ」の音楽を担当したので有名)に依 頼、ストリングスの指揮は勿論、プロデュースまで彼が担当しているので す。ストリングスとの共演によって単なるバラッドの特集にならず、それ ぞれの曲の持つドラマを表現するといった素敵なアルバムになっています 。それでは紹介していきましょう。

朝靄のかかった外の景色が浮かんでくる#1。このアルバムのタル曲で す。とてもリラックスできますね。シャーリーのピアノの弾き語りで始ま る#2は、ストリングスの入る後半の曲と2つの曲のメドレーですが、ま るで一つの曲の様に聞こえます。彼女の囁く様な唄い方がとてもストリン グスとマッチしています。テンポの変る#3はアクセントとして入るフル ートが効果を上げています。ジョニー・マンデルが作った佳曲#4。間奏 のトランペットはウィントン・マルサリスです。マンデルの曲にこのコー ナーでは頻繁に出てくるアランとマリリンーバーグマン夫妻が作詞した# 5。いつもの事ですが、とても詩が素敵です。
ロジャースとハートのコンビが送る#6。少し陽気なテンポの#7。神 秘な香りを何処かに感じます。ガーシュイン兄弟の#8。もうこの辺りま で来るとあなたは相当癒されている事でしょう。再びマルサリスのトラン ペット・ソロをはさんでゆったりと聴かせる#9。原曲のシャンソンとも ブレンダ・リーの唄とも違った味わいのある#10は、もうお分りの通り <愛の讃歌>です。アルバムの最後#11は、イタリアの曲にこのアルバ ムのライナーを書いているジョエル・イー・シーゲルが英語詩を付けまし た。彼女が囁いている<エスタテ>というのが原題です。

如何でしょう。何かとても癒された気分になりませんか?心地よい音楽 って本当に良いものですね。最後になりましたが、このアルバムは彼女の 恩人ともいうべきトランペッターのマイルス・デイビスに捧げられていま す。


CDナンバーはTOCJ 1114(日本盤)、輸入盤が314 511 876-2 で、レーベルはVerveです。