TRACIE BENNETT

End of the Rainbow



 先月ロス・アンジェルスで開幕した舞台<エンド・オブ・ザ・レインボウ>。 ロンドン→ブロードウェイ→ロス・アンジェルスと大評判の舞台です。 その舞台でジュディー・ガーランド役で主演しているのがイギリスの女優トレーシー・ベネット。 所謂ストレート・プレイですが、題材があの伝説の歌手ジュディー・ガーランドだけに舞台では彼女の持ち歌が多く歌われます。 そのオリジナル・キャスト盤とでも言うべきアルバムが今回紹介する<エンド・オブ・ザ・レインボウ>です。 主演のトレーシー・ベネットがジュディーの持ち歌の数々を歌っているこのアルバム。 とても素敵なので紹介することに致しました。

 女優、トレーシー・ベネット。と言ってもイギリスの舞台好きな方でないとご存知ないと思います。 そこで彼女を少し紹介してみましょう。
 1961年6月17日、イギリスはランカシャー州生まれの彼女は、1982年TVドラマでデビューします。その後、 舞台にも進出。1994年に上演されたミュージカル<She loves me>で ローレンス・オリヴィエ賞の助演賞を受賞して一躍トップの座に躍り出ます。2006年、ミュージカル <レ・ミゼラブル>のテナルディエ夫人を一年半に渡って演じ、2007年10月に始まったこれもミュージカル <Hairspray>で二度目のローレンス・オリヴィエ賞を獲得。2010年に始まった<End of the Rainbow> では成りきりぶりを発揮してローレンス・オリヴィエ賞の主演賞にノミネート。惜しくも受賞は逃しますが、 2012年3月にはブロードウェイに進出し、トニー賞にもノミネートされます。 そして今年3月12日にロス・アンジェルスで開幕を迎えました。先程も触れましたが、 彼女のジュディー・ガーランドへの成りきりぶりは相当なものらしく、 その一部をこのアルバムで聴くことが出来るのは大変幸せな事ですね。

 それでは紹介していきましょう。舞台は1968年12月。ジュディーのカムバックから始まります。

 派手なフルバンドの演奏にのって登場、その後ピアノでシットリと、そしてまた豪華な終わり方をする#1。 もう舞台を観ている気分にさせてくれます。ステージのオープニングっぽい#2。 チャップリンの#3は言葉を噛み締めるように。ジュディーの十八番をメドレーで唄う#4。 ステージの姿が浮かんでくる#5。ぐっと夜のムードで迫る#6。 コンガの伴奏だけで始まり次第に盛り上がっていく#7。優雅な感じの#8。 ジュディーと言えばこの曲と誰もが頷く#9。過去を振り返っているような歌唱です。 きっとそんなシーンで歌われるのでしょう。舞台が観たくなりますね。心がウキウキしてくる#10。 人生を振り返るような#11。アルバム最後の#12は、ステージの終わりを告げているかのようです。

 如何でしたか?舞台が目に浮かびますね。 ジュディー・ガーランドを知っている方にはジュディーが甦ったような錯覚に陥ると思います。 このアルバムを聴いて、彼女のステージを日本でも観たいと思うのは私だけではないでしょう。 アルバムの番号は、8691910942でMASTERWORKS BROADWAYレーベルから出ています。 ミュージカルのコーナーか通信販売 等でお求めください。 なお、この舞台、ロス・アンジェルスでは今月(4月)21日まで公演しています。 もし行かれる方がいらっしゃいましたら観に行かれては如何でしょうか?

2013.4.14