VINICIUS DE MORAES con MARIA CREUZA y TOQUINHO

LA FUSA



 今年の夏は本当に暑いですね。関東以南は梅雨明けが早く、夏がまだまだ続きます。 こんな時にはエアコンの効いた部屋でボッサ・ノーヴァでも聴いてみたら如何でしょうか?今回紹介するアルバム、 <ラ・フーサ>は、アントニオ・カルロス・ジョビンと並び称されるボッサ・ノーヴァの父、 ヴィニシウス・ジ・モライスとその美貌と声からボッサ・ノーヴァのディーヴァと呼ばれているマリア・クレウーザ、 そして、ギターの名手でもあるトッキーニョの3人が1970年にアルゼンチンを訪れた際、<ラ・フーラ> というライヴハウスで行ったライヴを元にスタジオで録音し、 後から拍手などをミックスした擬似ライヴ録音された名盤です。

 アルバムを紹介する前に主役の3人を少し紹介してみましょう。
 まず、ヴィニシウス・ジ・モライスです。1913年リオ生まれの彼は、1950年代後半、 アントニオ・カルロス・ジョビンと共にボッサ・ノーヴァのスタイルを築いた一人。 ジョビンとの共作でボッサ・ノーヴァ1号の<想いあふれて>、 大ヒットした<イパネマの娘>などヒット作は数えきれません。 1980年に亡くなっています。 彼が亡くなるまで10年以上に渡り作品を一緒に作り続けたのがギターの名手でもあるトッキーニョです。 1946年生まれの彼は渡辺貞夫との共演でも知られ今も活躍しています。そしてマリア・クレウーザです。 バイーヤ地方で生まれた彼女は1967年にサンパウロで行なわれた音楽祭で注目され、翌年、その時に歌った曲の作者、 アントニオ・カルロスと結婚。以降彼とコンビを組んでいる ジョゼ・カルロス・ジョカフィーとの作品を数多く録音しています。’69年にリオで行なわれた国際音楽祭で、 最優秀歌唱賞を受賞して一気に人気歌手の仲間入り。 ヴィニシウス・ジ・モライスとコンサートやレコーディングで共演する事が多くなります。丁度この頃、 アルゼンチンに演奏旅行に行き、その時に録音されたのが本作です。
 その後、RCAに吹き込んだ<Eu Disse Adeus〜邦題・リオの黒バラ〜>は ブラジルやアルゼンチンでLPチャートのトップに躍り出て更に人気を高めます。 フランスでも人気が出て幾度もヨーロッパで公演もしています。日本には1974年に世界歌謡祭で初来日。 この時、特別賞を受賞しています。正確な年齢は分かっていませんが、おそらく60代後半。 今でも人気の高いアーチストです。

 それでは紹介して行きましょう。

 拍手の後、3人で歌われる#1。楽しく行進でもしているようですね。#2はモライスとジョビンの作品。 もう何も言う事のない名曲です。この曲も3人で歌われます。観客との会話の後に始まるモライスの作品#3。 マリア・クレウーザの悩ましい歌声が素敵です。トッキーニョとジョルジュ・ベンの作品#4は、 トッキーニョとクレウーザとのデュエットで。思わず体が動いてしまうご機嫌な#5。 モライスとバーデン・パウウェルの作った名曲のメドレー#6。とても楽しそうな#7。 バーデン・パウウェルとモライスの作品#8。カーニバルの波に飲み込まれそうです。 ボッサ・ノーヴァと言えばこの曲ですね。3人で交互に歌い、そして一緒になる#9。 アストラット・ジルベルトとはまた違うアプローチです。哀愁漂う#10。 クレウーザ後のアルバムでも録音しています。彼女の声がこの曲にピッタリですね。 素晴らしいトラックです。クレウーザの夫君と音楽パートナーのジョゼ・カルロス・ジョカフィーの作品#11。 面白い曲です。モライスの曲をトッキーニョがギターで表現する#12。モライスとジョビンの代表曲の一つ、#13。 美しい曲ですね。クレウーザにはこの様な曲がお似合いです。これまた美しい#14。 彼女の声には品と色気を感じます。アルバム最後の#15は、モライスとジョビンの有名曲。 3人の息もピッタリですね。

 如何でしたか?素敵なアルバムでした。やっぱり夏はボッサ・ノーヴァに限りますね。 アルバムの番号は、CSMCD-019でクレオール・ストリーム・ミュージックから出ています。 ボッサ・ノーヴァのコーナーか、通信販売でお求め下さい。


2013.8.11