亀淵友香

バック・ステージ



 暑かった夏も一息。台風も到来して秋がすぐそこまでやってきています。 そんな秋に相応しいアルバムを紹介したいと思います。 聴いていると何故かホッとする亀淵友香が35年前に発表したアルバム、 <バック・ステージ>です。タワーレコード限定で再発されました。

 亀淵友香と聞いてもご存知ない方が多いと思います。ちょっと紹介してみましょう。 1944年11月に札幌で生まれ直ぐ東京に移住、その後東京で育った彼女は、小学校の時に、 名作の誉れ高い映画<真夏の夜のジャズ>を観て感動、音楽に目覚めます。1968年、 <リッキーと960ポンド>のヴォーカルとしてメジャー・デビューを果たしその体型と共に歌の上手さが相当話題に登りました。 しかし、ヒットには恵まれず1980年結婚を機に渡米。87年に帰国、離婚してからはライヴ活動を中心に舞台、 ボイトレなどで今でも活躍中です。

 そんな彼女が渡米前に発表したアルバム<バック・ステージ>。 夏の火照った気持ちを落ち着かせてくれるとても素敵なアルバムです。それでは紹介していきましょう。

 アルバムトップの#1は、夏の火照った体をクール・ダウンさせてくれる「グ〜!」な感じ。途中入る口笛は、 彼女の実兄でラジオのニッポン放送で絶大な人気を博していたアナウンサー(当時)の亀淵昭信です。 彼女が作った#2。ロード・ムービーを観ている感じがしますね。いい感じで体が揺れてます。私の歳(58歳) には詞の内容が痛いほど良く分かる#3。学生時代を想い出して涙が出てきそうです。とてもブルージーな#4。 大人の歌ですね。このアルバムは発売当時、当然レコードでしたが、その時のA面ラストの曲#5。 ベースに稲葉国光、ギターに中牟礼卓則といいうジャズ界でも最高のキャストをバックに迎え淡々と歌ってます。 とってもハッピーな気分になる#6。70年代を凄く感じさせる#7。シングルでは出せないけど、 アルバムの中には絶対に入れる優れた曲っていう感じでしょうか。 曲間の長いインターバルも夜の静寂を描き出す手助けをしている南正人の作品#8。金子マリ (当時は真梨)の作詞のセンスと亀淵友香の作曲のセンスがピッタリして静かだけれど印象に残る素晴らしい曲になった#9。 アルバムの最後、#10は、カルメン・マキをコーラスに迎えた西岡恭蔵の作品。 遠くに歩いていく別れた恋人を最後まで見つめている情景が浮かんできます。 西岡恭蔵の傑作<ぷかぷか>の続編とでも言えそうですね。

 如何でしたか?夏の火照った体を何となく冷ましてくれたのではないでしょうか。詞、曲、編曲、 どれもクオリティーが高いアルバムでした。アルバムの番号は、PROT−1073です。このアルバムは、 嘗ての名盤を掘り起こしているタワーレコードのみの限定販売ですのでお求めの際はタワーレコード各店でご購入下さいね。

2013.9.16