Joni Mitchell

Both Sides Now



とうとうやってくれました。今までにもジャズ寄りの作品をいくつか発 表した事もあるジョニ・ミッチェルが、オーケストラをバックに恋愛につ いて一つのポートレイトとして完成させた作品、それが今回紹介する<あ る愛の考察〜青春の光と影>です。とても素晴らしいアルバムに仕上って います。
まさに、年輪を重ねた人物の成せる術とでも言いましょうか、本当にこ のアルバムは素晴らしい。誰もがそう頷いてくれるに違いありません。こ のアルバムは彼女自身のセルフ・カバーも含め、スタンダード・ナンバー で構成されているのですが、1枚を通して聴くと解るように、恋愛について のストーリーが描かれています。つまり、出会いから、情熱的な愛へ、そ して幻滅、別れと。皆さんも繰返し繰返しそんな行動をとってる事だと思 いますが、如何でしょうか?そんな事はさて置いて、アルバムの紹介にま いりましょう。

ミステリー映画のサントラばりにスタートする#1。よくありますよね 、そんな感覚って。「君を見ていると何だかゾクゾクしてきちゃう」みた いな感覚。あなたも思い出しましたか?でも、そんな感覚が怖いんです。 だから#2の様に舞い上がっちゃうんだなこれが。でも、この時が一番幸 せなんでしょう、きっと。マーク・アイシャムのトランペット・ソロが切 なく聞こえる#3。そして訪れる#4。「女心と秋の空」とはよく言った ものです。まあ、ここでは「男心と秋の空」でしょうけど。
よくジョニとは共演するウェイン・ショーターのソプラノ・サックスと ジョニの語りかける様な表現がとてもマッチしていて素敵な#5。彼女の オリジナル#6。やはり一歩離れた所で物事を見るって大切な事なんです ね。切ないけど優しい#7。「君と一緒にいれば幸せ」だなんて言ったっ て全く信じてもらえない自分を想うとちょっぴり淋しくなってしまう#8 。まあ、自分の事はさておき、そんな自分を慰めてくれるように気遣って くれる#9。「それだったらもっと考えてくれよ」って愚痴の一つもこぼ したくなっちゃいますよね。リナ・ホーンの歌や映画のタイトルにもなっ たので知っている人も多い#10。ラブ・ソングと言ったらやはりロジャ ース&ハートでしょう。#11は彼らの代表曲の一つです。そしてアルバ ムの最後を飾る#12は、ジョニのオリジナルでもあり、このアルバムの タイトルでもあります。あまりにも有名で何も言う事はありませんが、こ こでの彼女の歌唱は彼女の年輪を感じるとともに、まさにアルバムのタイ トルにぴったりだと感じさせる程素晴らしい物になっています。

如何でしたか?何とも言えない感動が残った事だと思います。素晴らし いオーケストラはもちろん、ピーター・アースキンやハービー・ハンコッ ク、本文でもあげたマーク・アイシャム、ウェイン・ショーター等のサポ ートも忘れてはならないでしょう。勿論、彼女の歌唱は言うまでもありま せん。それとこのアルバム のもう一つの楽しみは、ライナーに描かれた数枚の「絵」です。このアル バムのストーリーを表現していてとても素敵なのですが、この絵は、ジョ ニ・ミチェル、彼女自身が描いている物なのです。是非アルバムを聴きな がら「絵」も観賞して下さい。
この1か月程前に彼女はロス・アンジェルスでこのあるばむをコンセプ トにしてコンサートを開いています。オーケストラをバックに行なわれた コンサートは、きっと豪華で素晴らしいものだったに違いありません。日 本でも実現してほしいものです。

アルバム・ナンバーは

WPCR-10678(日本盤)
9362ー47620ー2(輸入盤)

です。どちらもワーナーより発売されています。