SUMI JO

Only Love



21世紀を代表するであろうソプラノ歌手のスミ・ジョーが素敵なミュ ージカル・アルバムを届けてくれました。それが今回紹介する<オンリー ・ラブ>です。
スミ・ジョーと言えばソプラノの中でも特に技巧が必要とされるコロラ トゥーラ・ソプラノの代表者ですが、このアルバムの中での彼女の歌声は 、全くクラシカルな歌唱方とは離れて、こんなミュージカル・スターがい たらいいなと思わせる程、ミュージカルのヒロインとして完成された歌声 を披露しています。

重苦しく、怪しいイントロで始まる#1は<ジキルとハイド>の中で2 人のヒロインが、夫々に主人公に対しての胸の内を語る後半に出てくる曲 です。ジョーは両方のキャラクターを違った声質によって歌い分けていま す。#2も<ジキルとハイド>から1幕の最後の方で歌われる曲。ヒロイ ンの感情をうまく表現しています。
何のミュージカルだったのかな?と思い出しても出てこないはずです。 #3はオリジナルだったんですね。何かのミュージカルで使われていたと してもおかしくない曲だとは思いませんか?フェリーニの映画8 1/2 をミュージカルにしてトミー・チューンが演出して、1982年度のトニ ー賞をとった<ナイン>からの#4。ちょっと変ったミュージカルでした が歌の内容はまともです。
半世紀近くも活躍し続け、新作が出る度に話題になるステファン・ソン ダイムの<フォーリーズ>からのナンバー、#5はいろんな人に取り上げ られている有名曲。再び<ジキルとハイド>からの#6。たまにこんな気 持になりますよね。このアルバムのタイトルにもなっている#7はフラン ス革命時に題材をとった<スカーレット・ピンパーネル>からのナンバー 。話題性はあったのですが、内容がいまいちでしたっけ。
昨年日本でも再演され、散々な出来だった<リトル・ナイト・ミュージ ック>ですが(日本の再演の話しで、オリジナルは最高の出来です)、こ の#8は永遠に残る名曲です。G線上のアリアの旋律をバックに歌 われるのは、もうジャズのナンバーとしても有名な#9。ゆったりした気 持になりますね。
バーン・スタインと言えば勿論、指揮者として大変有名だった人ですが 、彼もミュージカルをいくつか書いています。その彼の作った#10。ヴ ィオラの旋律が眠りを誘う#11は<ボヘミアン・ガール>から。そして 、アルバムの最後を飾るのは、とうとうブロード・ウェイでも今年の12 月31日にクローズが決ってしまった<ミス・サイゴン>からのナンバー です。同じ男をめぐって本妻と愛人が歌い合うシーンがとても印象に残っ ています。

如何でしたか?三谷幸喜の<オケピ!>を観てイライラしていたあなた 。このアルバムならきっと満足して頂けると思います。そしてこれから、 ミュージカル・スターとしてのスミ・ジョーも期待したいところです。 CDナンバーは次の通りです。


WPCSー10524(日本盤)
8573ー80241ー2(輸入盤)
どちらもクラシックのコーナーか、ミュージカルのコーナーにあると思 います。是非一度聴いてみて下さいね。