松本哲平

QUIET SONG



 やっと春本番を迎えました。こんな時はゆっくりとした時間を過ごしたいものです。そこでこのアルバムを紹介したいと思います。 ピアニスト松本哲平の<ウワイエット・ソング>です。

 松本哲平。殆どの方はしらにと思います。私が彼を初めて知ったのが数年前の大泉学園にある<F>というジャズのライヴハウスでした。 凄くテクニックが有る訳ではなかったのですが、何故かそのタッチに魅かれ聴くようになりました。トリオやデュオ、 歌伴奏とジャズを中心に活躍する姿は新宿のBarToilet、立川のJESSE JAMES等で聴くことができます。 1988年鳥取県米子市生まれの29歳。教鞭をとる傍らライヴ活動にも積極的に取り組んでいる彼のセカンドアルバム <クワイエット・ソング>。早速紹介していきましょう。

 春の高原のホテルで目を覚ましカーテンを開ける。そこに広がった風景。正にそんな光景が目に浮かぶ#1。 眠い目を擦りながら顔を洗い歯を磨く。幸せを感じる時間が始まる予感。そして朝食。サラダとオレンジジュース、 オーヴァー・イージーの卵焼き、そしてヨーグルト。そんなイメージの#2。さあ、一日の始まり。爽やかな風、軽快な足取り。 #3はそんなイメージ。人々の行き交った後に残された静寂。後半のジャズ的アプローチが素敵な#4。黙っていても時は流れていく。 #5は渦巻き流れる時の流れを表現しているかの様です。続く#6は、その流れに背かわず流れて行き緩やかに河口に向かう。 バッハの#7。この曲がこの位置で流れていても違和感を感じないほどアルバムに溶け込んでいますね。家路に向かう人の波。 一日の大半を終えホッとした表情。解放感。そんな言葉がピッタリの#8。太陽が沈み心の静寂が訪れる#9。 名曲を沢山作った作曲家いずみたく。彼の作品の中でも永六輔と作ったこの#10は特筆するに値する作品です。 一日の終わりとこのアルバムは閉じられます。

 如何でしたか?とても素敵なアルバムでしたね。1980年ころに流行ったレーベル、ウィンダムヒル。 その中心的なピアノ演奏家ジョージ・ウィンストンが作った四季4部作を彷彿させる作品でした。アルバムの番号は、AND-0111 で  Yu&En から出ています。ジャズピアノのコーナーか通信販売でお求め下さい。


2017.4.16