坂下忠弘

愛のささやき



 昼間と朝晩の気温の差はまだまだありますが、太陽の沈む時間が早くなっていたり、そこかしこで虫の声が聞こえてたりで秋を感じてきましたね。 そんな秋にピッタリのアルバムを紹介したいと思います。期待のバリトン歌手、坂下忠弘の<愛のささやき>です。

 坂下忠弘と言ってもほとんどの方がご存じないと思います。少し彼をしょうかいしましょう。

 1999年より声楽のトレーニングを始めた彼はクラシック音楽の名門、桐朋学園大学に入り2000年から2007年まで声楽を学び、 その後二期会のオペラ研修所で3年間学びます。そこを出所した後、数々のオペラ出演や定期的にリサイタルを開いたりしています。 特にプーランクの歌曲歌唱には定評があります。2014年、シンガーソングライター尾崎亜美プロデュースの4人組声楽ユニット<La Dill>のメンバーとしてメジャーデビュー。 2015年7月にファーストソロアルバム<HERO ism〜ヒロイズム〜>を発表。 そして今年(2017年)このセカンドアルバム<愛のささやき>を発表しました。 クラシック音楽だけではなく様々なレパートリーを持っている今期待の歌手です。

 それでは紹介して参りましょう。

 #1はもうお馴染みです。この映画を観た多くの方が涙したに違いありません。映画<ニュー・シネマ・パラダイス>の愛のテーマです。 時代の流れを表すように歌っています。グノーが小説<ああ、無情>などで有名なヴィクトル・ユーゴーの詩に曲を付けた#2。 とても有名な曲なので聴いたことがある方も多いでしょう。ポピュラーソングの原曲としても有名な#3。 さて、皆さんは何の曲高だか分かりましたか?フランスのオーヴェルニュー地方の民謡をカントループが編曲した#4。 牧歌的な雰囲気が良く出ている歌唱です。何しろ詩がとても素晴らしい#5。美しいですね。クラシック歌手からシャンソン歌手まで人気の高い#6。 敬虔な祈りが遠くから聞こえてきそうな#7。#8は平和の祈りを感じます。心が落ち着きますね。とても楽しい#9。サティーの作曲です。 20世紀前半に活躍したさ作曲家コルンゴルドのオペラ<死の都>から本来はソプラノが歌うアリア#10。 親しみやすいメロディーがホッとさせてくれます。幅広い層に人気の高いアストル・ピアソラ。 #11は1984年に作られた映画<エンリコ4世>の為に作曲されました。曲自体がその曲名<忘却>を表している素晴らしい作品です。 80歳代後半になった今でも元気に活躍しているミシェル・ルグラン。彼の作品はクラシックのアーチストにも取り上げられる事が多いのですが、 この#12もルグランの作品。映画<水の中の小さな太陽>の為に書かれた美しい曲です。ジェシー・ノーマンも嘗て取り上げていましたね。 #13〜15は武満徹の作品。彼の才能に改めて脱帽です。 アルバム最後の#16は、美智子皇后陛下がご実家の庭に植えられていたねむの木を思い出して作られたと言われています。 当時(昭和41年)、吉永小百合さんと梓みちよさんの共演という形でシングルレコードが発売になったのも話題になりました。

 如何でしたか?とても秋を感じるアルバムでした。アルバムの番号は、OVCL00639 でオクタヴィア・レコードから発売になっています。 クラシック・ヴォーカルのコーナー、通信販売でお求め下さい。


2017.9.26